TBSテレビのTHE TIMEのプラチナ特集に出演して「いつまでも上がり続けると思うな。ワイドショーが扱い始めたら
一相場終わりだ」と語り、その発言はカットされたことを昨日書いた。オンエアで採用されたコメントは「NY市場では、今日プラチナ買って、来週には儲けたいと思っている人が多数いる」「投機的だから注意」。
そう言った途端に、NY市場で、プラチナ暴落。個人的には、悲しいけどね、プロとしては、言わねばならないこともある。
1,500ドル狙いのはずが1,300ドルの攻防に。とにかくプラチナ市場は小さいから、この程度のことで驚くなかれ。
まぁ、このまま下げ続けることはないと思うよ。昨晩の下げが始まったのは、FOMC前後。やはり「7月利下げせず」が売り材料として投機筋に使われたのだね。銅価格も急落した。
金価格も下落だが、下げは限定的。とはいえ、上げ一服感が強い。
さて、明後日土曜日朝のBSテレ東「日経サタデー」に生出演。テーマは貴金属ではなく「どうなる米国経済」。今週、FOMCと雇用統計を経て、トランプ政権そしてFRBは、どう動くか。
バンコック並みの酷暑東京出張は懲りたので、札幌からリモート出演を条件にOKした(笑)
このテーマについての論文を以下に添付しておく。
パウエル氏、任期中は「利下げせず」も、ちらつく円安
現状の不透明感に満ちた世界政治経済環境では、米国利下げを首尾良く成し遂げるのは、航海で海図なき難所を乗り切るようなものだ。誰がFRB議長になっても、物価と雇用の二つのミッションを同時に達成するのは無理筋であろう。
パウエル氏は、常々、一回のデータの振れは「ノイズ」(雑音)と切り捨て、数回連続で一定の方向性が確認されなければ政策金利は動かさない方針を明言してきた。
しかし、CPI、PCEインフレ率などの物価指標と、失業率などの雇用指標が、同時に利下げを正当化する数値となる可能性は低い。しかも、その数値の組み合わせが、大きく振れずに数か月継続してトレンドが確認できることなど、果たしてあり得るのか。そもそも、トランプ大統領が、黙っていまい。FRB本部改修問題を理由に、パウエル氏解任に本格的に動くであろう。
なお、30日に発表された米4-6月期GDPも、年率換算で前期比3.0%だったが、肝心の個人消費は1.4%増にとどまった。それでも、パウエル氏は、米国経済は堅固だと言う。
しかも、「データ次第」で決める政策金利の動きについて、FOMC内でも、トランプ氏を意識したと思われる二人の反対者が出て、内部の亀裂が露わになった。パウエル議長は、丁寧な根回しで決めることが知られているが、今回ばかりは、トランプ大統領の影響力が優ったと思われる事例となったのだ。
ここで、パウエル氏が、利下げに踏み切れば、政治的圧力に屈したとの見解が噴出するは必至の情勢。
結局、パウエル氏は、政策金利据え置きを、26年5月の任期終了まで続けるという極端なシナリオが、絵空事とも言えなくなってきた。
いっぽう、日銀は本日、4会合連続で、政策金利0.5%に据え置きを決めた。今後、NY市場の国際通貨投機筋が、円買いポジションを倍返しで円売りに転換する可能性も、ウォール街では、語られ始めた。
次の流れとしては、まず8月21-23日開催の恒例中央銀行フォーラムであるジャクソンホール会議が注目される。次のFOMCは9月16,17日なので、それまでにCPIと雇用統計が2回発表される。そこで、パウエル議長が、ジャクソンホール会議で、利下げ慎重論を強調して語る可能性があるのだ。関税のインフレ効果が、それまでには顕在化しているかもしれない。
これまでも、パウエル氏は、ジャクソンホールで、サプライズ演説を行った事例を、市場は忘れず、既に身構えている。


