「貿易戦争に勝者はない。米中共倒れを回避するために、本気で喧嘩する気はない」昨日本欄にこう書いたが、やはり、週末水面下で「示談交渉」が始まったようだ。ムニューシン財務長官もテレビで「慎重な楽観」を語った。
市場には一転「貿易戦争和解期待」が広まる。
たしかに、安堵すべき材料だが、連日の激しいボラティリティーが市場参加者の動きを抑制している。派手な値動きのわりに出来高は膨らんでいない。
VIXも21台で、依然警戒水域である。
市場の価格主導権をAIが握り、人間は振り回される展開だ。
貿易戦争リスクも赤信号が黄色になったが青信号にはなっていない。
通商交渉では、トランプ大統領の、脅かし騒いで条件良い取り引きに持ち込む手口が露骨で、市場では狼少年扱いされそうだ。
それでも極度に神経質な市場は、その言動を無視できない。
筆者は株についても長期投資派だが、今に限っては、個人投資家が、この荒天相場に飛び込むことに警報を発している。海千山千のヘッジファンドでさえ、キャッシュポジションを増やし、様子見姿勢が目立つ。
たとえ、個人投資家の積立であろうと、普通の神経には心臓に悪い。初めて積立を始めた直後にこの価格乱高下を経験して「やっぱり投資って怖い」と反応する事例も少なくない。荒波が鎮まってからでも遅くはなかろう。
その点、金価格は安定しているので、いつでも積立開始を薦められる。
1350ドルのレンジ上限を試しているが、金の価格変動は、株に比し、カワイイものである。