南北首脳対談合意、北朝鮮非核化検討の報道後、金価格は急騰した。10ドル以上上昇して、1320ドル台から1330ドル台に水準を切り上げている。

朝鮮半島緊張緩和シナリオに金市場は懐疑的だ。過去に北朝鮮の融和路線に反応して金が売られたが、結局、ハシゴを外された事例が市場の記憶に残る。トランプ大統領の慎重な歓迎ツイートが流れても、金は買われ続けた。北朝鮮が非核化の条件として、米軍撤退を持ち出す可能性が強いと読む。結局、ミサイル開発の時間稼ぎとの見方が根強く、これで、こじれたら、逆に緊張が増幅されるとの懸念もある。

いっぽう、2日の市場では、北朝鮮より保護主義のほうが材料視された。

特に、政権内で自由貿易派の旗手コーン国家経済会議委員長の辞任説が再び流れ、市場では不安視された。トランプ大統領の「ホワイトハウスの中に、変わってほしい人たちがいる」とのツイートも注目された。対象候補として名があがるのは、セッションズ司法長官とコーン氏である。そして今朝になって、遂にコーン氏辞任が発表された。今晩のNY株価はかなり下げそうだ。トランプ大統領に対して「殿、ご乱心」といえる人物が政権から消えることで、益々トランプ不安が市場では高まる。

実は、コーン氏は、元々、NYMEX(NY商品先物取引所)で金原油などの売買の場立ちをやっていた。自分を売り込み、遂にゴールドマンサックスのNO2まで登りつめた人物だ。マーケット出身として市場の信頼も厚い。それだけに、衝撃なのだ。

なお、半島情勢だが、米朝対話まで進展しても、有事の金が半島緊張緩和シナリオで売られる可能性は低い。

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