昨晩NY市場で最も注目されたFOMC議事要旨が、市場の大混乱を再び誘発した。

まず、議事要旨発表直後は、「AI」がイエレン氏最後のFOMCで「緩やかな利上げ」既定路線変更を示唆する文言は特に見られないと解釈して株買い注文を発動。ダウ平均は前日比300ドルを超す急騰を演じた。

しかし、その数十分後、「人間」が、「利上げ加速の可能性」に関する議事要旨の部分に着目。タカ派的解釈が急速に台頭した。

市場でも、まず、債券市場で異変が生じた。

米10年債利回りが2.95%まで急騰したのだ。ここまで金利水準が上がってくると、3%の大台突破観測にも切迫感が増す。

この金利急騰を嫌気して、ダウ平均はまたたく間に前日比マイナス圏に沈み、166ドル安で引けた。

日本時間朝4時台からダウ平均は400ドル以上急落したのだ。

外為市場では、ドルインデックスが心理的節目とされる90の大台を再突破した。議事要旨に滲む米国経済上振れ予測を素直に金利上昇要因と解釈しての動きだ。金利上昇にも関わらず米財政懸念でドルが売られるという流れに一石を投じた議事要旨となった。

日本株市場にとっても、ドル安による「とばっちり円高」が重荷になってきただけに、「お返しの円安」が潮目を変える可能性には関心が高まろう。

 

この相場急変をマクロ視点で見れば、やはりFRB議長交代に伴う金融政策に関する不透明性が無視出来ない。

パシュートに例えれば、先頭を走ってきたイエレン選手がパウエル選手に交替して、氷温が上がり、利上げラップもピッチを上げるのではないか、との観測が台頭しつつある。

そもそも、今回議事録が発表されたFOMCは、NY株急落劇の前に開催されたものだ。1月雇用統計での平均時給2.9%増と、1月米消費者物価上昇率前月比0.5%増の経済統計は反映されていない。

この大きな変化について、次回のFOMCでは、活発な議論が交わされることは必至だ。例えば、今回の議事録で明記された「生産性が上がらなければ、賃金が上昇しない」可能性が次回にはどのように表現されるのか。行間を読む市場の手荒い洗礼を、パウエル新議長は浴びることになるかもしれない。

既に、2018年利上げ回数予測も3回から4回に引き上げられる可能性が増しつつある。

今回は、議事要旨文面の「緩やかな利上げ」路線確認の部分に反応した「AI」と、次回のFOMCまで先読みした「人間」との差が、市場の混乱を増幅させたともいえる。

今後も、米国財政金融政策を巡るAIと人間との「先読み合戦」が市場のボラティリティーを高めることになりそうだ。

金価格は金利上昇で続落。想定内。

 

それにしても、パシュートは面白かった。

交代する先頭選手が最後尾につく過程も、円形を膨れて大回り気味のほうが、チーム全体のスピード減速が最小限に留められるという科学的検証も経ての勝利。3人の個人選手の個別成績ではオランダのほうが圧倒的に良いのに、余計な空気抵抗を周りから受けると、負けてしまう。それに3人目の選手がゴールするまでゲームは終わらない。韓国チームは遅れた3人目をゴール直前で見捨てたので、国内で非難の嵐。パシュートそのものを良く理解していなかったので、なるほどと合点することばかり。単なるスピード競争ではない面白さだね。

日銀チームは黒田、雨宮、若田部三選手で金融パシュートに挑む。先頭はずっと黒田選手だけど、あとの二人がお尻押して支えるのかな。終始チームをリードした高木美帆選手を見習えるか()準決勝で勝ちを確信して、決勝に余力残すために、右腕出して、後続2人のスピードを制したシーンが印象的だった。