企業決算、ワシントンでの米中通商交渉、ISMや雇用統計発表、そしてFOMC開催。
重要なイベント目白押しの今週だが、特に金融政策動向は中期的なマネーの流れに大きな影響を与えるので、注目度が高い。
今年からFOMC毎回終了後、FRB議長記者会見が開かれることになり、昨年までは無風であった1月FOMCにも関心が集まる。
利上げは、少なくとも6月まで停止の観測が多数派となり、代わって注目点はFRB資産圧縮にシフトしそうだ。
量的緩和によりFRBが買い取った国債とMBS(住宅担保債券)は4.5兆ドルに膨張した。このFRB保有債券を徐々に減らして「適正水準」に戻すことも「金融正常化」のためには欠かせない。
問題は、この「量的縮小」プログラム実行が、FRBにとって未知の海域での海図なき航海となることだ。
FRBの「適正資産規模」が何兆ドル程度なのか。資産圧縮の落としどころが見えない。
約4.5兆ドルにまで膨張したが、現在は4兆ドル程度まで減ったと推定されている。イエレン前FRB議長の時代に始まった資産圧縮プログラムにより、月額500億ドルを上限に現在に至るまで圧縮されてきたからだ。その方法は、償還期を迎えた保有債券を再投資せずに、自然体で減らしてゆく、という穏やかな政策手段である。保有債券を売却するような積極的圧縮策は思わぬドル金利急騰を招くリスクがあるので回避されている。
例えていえば、FRB資産圧縮はステロイド療法の停止に似ている。花粉症が酷くなるとステロイド投入で症状を緩和するが、劇薬ゆえ、止めるときには数週間かけて徐々に投入量を減らしてゆく。いきなり止めると体がショック症状を起こしかねない。
それゆえ、FRBも「バーナンキショック」再来を防ぐために、つとめて温和な政策手段を採ったのだ。
それでも、過剰流動性依存症に陥っている市場の心理は不安から抜けられない。
資産圧縮は、どの程度の引き締め効果があるのか。
イエレン氏は、2017年1月19日、スタンフォード大学での講演原稿で「FRB保有債券の再投資が終了に近づけば、0.25%の利上げ2回分に匹敵する効果がある」と記している。
それゆえ、FF金利引き上げは停止しても、資産圧縮を続ける限り、実質的な利上げが継続される、と市場は解釈する。
なお、FRBの適正資産規模については、1.5兆から3兆ドル程度との見解が多かったが、最近は3兆ドル以上との意見が増えている。市場目線では、「ドル不足」「ドル調達コスト上昇」がリスクと見なされているからだ。実質的に「世界の中央銀行」であるFRBが、保有資産を大きく減らすと、市場の懸念材料と化す可能性があるのだ。
このような市場環境ゆえ、昨年10月にパウエル現FRB議長が不用意に「資産圧縮は自動操縦」と語り、マーケットの状況にはお構いなしに、予定通り粛々と実行してゆく姿勢を見せたことが、市場混乱を招いたのだ。
その後、「経済環境が変化すれば、政策も変える用意あり」と発言は修正された。
当初はアドリブ発言が目立った実務家出身のパウエル氏も、最近では、イエレン・バーナンキ氏との壇上対談にて、予定原稿を読み上げるほど慎重になってきた。
果たして、台本無しのFOMC後記者会見で、資産圧縮について、いかに語るか。その一言が中期的マネーの流れを変える可能性を秘める。
FRB資産圧縮停止となればドル金利安、ドル安でNY金高になる。
さて、今日の本文に書いた、ステロイドだけど、私は、本当に花粉症が酷くなると、ステロイド吸引する。例えば、明日講演なのに声が嗄れて喋れないという最悪の場合に、緊急用に服用する。あまりにも効果があるので、よほど強い薬なのだと、怖くなることもある。いったん、服用したら2週間は続ける。毎年のように(今年もたぶん)お世話になるだろうね~~