関西神戸大震災の翌朝のこと。
テレビのモーニング・ショーで焼け野原の神戸の風景が中継されていました。
一人の年輩の女性が、焼け焦げた家庭用金庫を必死でバールを使い、こじ開けていました。
やっと開いて中から手づかみで取り出したのが灰になった一万円札。
更に、めげずに金庫内をまさぐり「あった!」と叫び、取り出したのが金貨でした。
後で貴金属商でチェックしたところ、1オンス=31.1035グラム、きっちり減らずに残っていたといいます。
震災でマンションなど不動産の価値は損なわれましたが、実物資産としての金の価値は残ったのです。
それ以来、関西で金についての消費者調査を行うと、「金は燃えない資産」との認識が回答の中で目立つようになりました。これは関西地区特有の調査結果でした。
一方、東北大震災のときは、沿岸部の住民が家庭内金庫に保管しておいた金塊が津波で流されるという事例がありました。
ひとたび流出すると、金は「無記名」の資産ですから、所有権を証明することが難しいのですね。
金の現物の価値は有事でも残りますが、保管には注意が必要ということを地震が教訓として示しています。