WGC発足時点から25年間、同機関で働いた者として、ぶっちゃけ「良い意味で」驚いた。
FRBウォーシュ議長タカ派講演から下げ続く金価格について、下値抵抗線の4,215ドルまで下落の可能性をアナリスト(複数形でWGC analystsとなっているが)予測として言及したからだ。
WGCは国際的金調査機関(日本語の、この訳語を作ったのも私)と名乗っているが、実態は、広報機関あるいは販売促進機関。公的に「金が下がる話」は社内でタブーだ。まぁ、これは、証券会社にでも言えることではあるけどね。
筆者は、WGC在任当時から、言いたいこと言って、下がりそうなときは、弱気コメントを出して、社内では、「困りもの」扱いであった。まぁ、結局、東京のJeffは、しょうがない、という感じであったが。
そもそも、独立した理由の一つが、house viewと呼ばれる、社の公的見解に縛られず、独立系として自由に発言したいということがあった。
そのような体験をしてきたゆえ、今回のように、4,215ドルという具体的数字(テクニカル・チャートに基づく)を正直に語るのを見ると、「見直した」感。お、WGCも、やるじゃん、という感じ(笑)
さて、その金価格だが、4,300ドル近傍で推移している。世界的長期金利上昇傾向に加え、昨日は、米イランの軍事的エスカレートにより原油価格が急騰したことが、金価格には下げ圧力となっている。
週末にリリースされた、池ちゃんとのYoutubeでは、5,000ドルに接近すると、レバレッジかけた連中がドッと押し寄せてきて、ボラが荒い相場になるよ、と発言した。
そのYoutubeの収録日が、たまたま、ジャクソンホール会議直前で、結果的には、リリースされた時点で、金価格が反落傾向になっていた。
多くを語らず(フォワード・ガイダンス撤廃)、手の内は明かすことなく、まずは、市場の動きを見て、FRBとしての見解を語るウォーシュ氏ゆえ、自ら明確に利上げを示唆する如き発言は、想定外であった。
そこに、世界的長期国債売却傾向が加速。長期金利上昇傾向がワールド・ワイドで顕著になり、金には逆風となった。ただし、安全資産とされる米国国債売却の動きは、同じく安全資産としての座を争う金にはいずれ追い風となる。
加えて、AIが、利上げに追い風か否かとの議論も、NY市場では活発だ。
まず、AI関連で、巨額の投資及び購入が行われるので、これが、インフレ要因となり、利上げ確率上昇に一役買うという説。
対して、AIが人間様の雇用を奪い、企業としては、安価なロボットで代替することで、企業の生産効率が上昇。生産性が向上することは、ディスインフレ(物価下落要因)になるという説。
全く相反する議論が市場を賑わしているのだ。
9月利上げの確率にしても、今週発表の雇用統計、来週のCPIの結果次第で、大きく振れる可能性大だ。
従って、現時点で、9月利上げを決めつけ、売り攻勢をかけている短期投資家層も、場合によっては、金売りポジションを一斉に買い手仕舞わねばならぬ展開も予想される。
更に、現時点で読めない問題として、米長期金利上昇を債券市場介入で抑え込んだベッセント財務長官が、短期政策金利引き上げを目指すウォーシュ議長となんらかの「お互いの立場或いは面子を守るための妥協案」を模索する、あるいは、しているのか。
最後に、トランプ親分の対イラン、強硬姿勢の今後。更に、中間選挙を控えて、金融財政政策に政治的圧力をどの程度強めるのか。
まだまだ、不透明な部分が多い。
現時点の利上げ確率にしても、あくまで「瞬間風速」。
野球に例えれば、利上げゲームは、まだ3回裏程度といえよう。
金市場チームには、中央銀行の買いとか中国インドの文化的金選好度の高さなど、錦の御旗があるが、これらの要因は、即効性に欠ける。虫の目で見た場合、今日明日の金市場最前線で注目される要因ではない。虫の目では、先物やETFの資金流入・ポジション増減により決まる傾向が強い。
いろいろ書いてきたが、筆者は、そろそろ、金価格も底打ちと見ている。
なお、本日午前11時半配信予定の「豊島逸夫チャンネル」は、久しぶりの更新とあって、予期せぬ機械的トラブルが発生して延期になった次第。
個人的に、札幌の快適な気候のもと、諸々、抱え込み過ぎたと反省しきりです。
拙速を避け、きっちり、時間をかけて仕上げてゆきます。
札幌は今朝18度。寒いぐらいだった。
コスモス咲き、夜は虫の声も聞こえる。
昼は超快適な気候だよ。実は、東京で対面の仕事がたまっているのだが、
札幌市から新千歳空港までが遠く感じられるねぇ(笑)


