ロシア中銀の資料によれば、今年1-6月に、43.5トンの公的金売却を行ったとされる。その結果、同国の公的金保有量は、2,282トンに減った。2022年3月以来の水準という。

 

ロシアといえば、公的金購入では、最も目立つ存在であったが、今や、ウクライナ戦費も増え、財政赤字補填のための金売却と考えられる。

それゆえ、これも「平時に貯えた金を有事に売って凌ぐ」という本来の「有事の金」とも言えようか。

過去にも同国は、経済危機のたびに金を売って外貨を調達して、凌いだ事例が少なくない。

但し、今回は、経済制裁により、ロシア中銀がロンドン金市場で金を売却することまで禁じられた。本欄でも、以前に、「これはプーチンの痛恨の判断ミス」と記した。

 

従って、ロシア中銀は、ロシア国内の銀行に金を売却したと考えられる。

背景として、ロシア国民が、深刻なインフレに苦しみ、インフレヘッジとして金を買っていることも挙げられる。

なお、ロシアは中国と並び、主要金生産国ゆえ、国内産の金が売られたとも考えられる。

更に、中国がロシアから人民元建てで金を購入したという事例も報道されてきた。

中国は金を買い、ロシアは金を売る。対比が鮮明だ。

 

さて、円安が163円を超えたことがNY市場でも話題だ。

ウオーシュ新FRB議長の利上げ観測が、ドル金利上昇を誘発した「ドル高」の色合いが強い。

とはいえ、長期で見れば、外為レートは、当事国の「稼ぐ力」により左右される。日本の国力衰退を象徴する出来事ゆえ、昨年の「円キャリー投機による円安」とは根源的に異なる。

もはや、日本の金融当局の介入でNY投機筋を抑え込めば、(とりあえずは)円高に是正できるというような話ではない。それだけに昨年より明らかに筋が悪い円安といえる。

 

円建て金価格には上昇要因となり、日本人の金購入は、自国通貨安ヘッジとなることも実証されている。

「150円台なら円高!」という感覚が当たり前になってきた。

 

最後に足元でドル建て金価格が4,100ドルを超えたが、膠着相場の域を出ない。