やっと議会承認が終わり、6月FOMCで、新FRB議長としてデビューするウォーシュ氏。本欄でも、今後、頻繁に出てくる名前になりそう。
ちなみに、異例のことだが、パウエル前議長も、FRB理事としてFOMC参加を続ける。

パウエル氏を強く批判してきたウォーシュ氏。「健全な賛成反対論の対立は健全なこと」とかわしているが、さてどうなるか。

ウォーシュ氏の立場は非常にビミョーだ。
背中からトランプ大統領が「利下げ!」をプッシュするなかで、現在の米経済状況の最大の問題点が「インフレ」。そのインフレ収束のためには「利上げ」の可能性が遡上に上がっている。FOMC参加者のなかでも、「利上げ」支持論が目立つ。ウォーシュ氏は、これまで、FOMC参加者たちを個人名で批判したりしてきたので「遺恨試合」のリスクもある。

更に、ウオーシュ氏は、QE(量的緩和)に反対で、QT(量的引き締め)論を支持する。そもそも、FRBが米国債を買い上げるQEを続けた結果、FRBは巨額の米国債を抱えることになった。所謂「FRB資産規模」が一時は9兆ドルを超え、QTで減らしたものの、まだ6.7兆ドルも残っている。ウォーシュ氏は、これは、多すぎる、とFRB資産規模の肥大化に警鐘を鳴らしてきた。

ここが、株も金も、最も警戒するところだ。そもそもおカネじゃぶじゃぶの過剰流動性相場ゆえ、その流動性が減ることは、直接的に、株安・金安を誘発するからだ。

それから、新議長は、FOMC参加者が、講演であれこれ語ることを好まない。ドット・チャート無用論も匂わす。フォワード・ガイダンスと呼ばれる金融政策の方向性を予め明示することに反対なのだ。これはこれで、FOMC参加者は反発しよう。マーケットの視点でも、ドット・チャートやFRB高官発言が無ければ、「危うい夜間飛行」を強いられる。

このような状況で、いきなり6月FOMCで、ウォーシュ氏は、重要な判断を迫られる。インフレを重視して「利上げ」も検討するのか、或いは、雇用を下支えするために、トランプ氏の圧力を受け、利下げを考慮するのか。11月の中間選挙をにらみ、トランプ氏も、待ったなしだ。

年後半、米金融政策が、重要な金価格決定要因の一つになろう。
年前半、イラン有事で金が下がったのも、原油高騰→インフレ懸念→利上げのロジックであった。金利要因が有事要因を勝るのだ。年後半、中東地政学的リスクも、FRBは重視せざるを得まい。