KITCOグラフ

FRBの金融政策の影響が顕在化しつつある。
これまで、米労働市場の悪化を下支えするため12月FOMCは利下げに動くとの観測が支配的であった。12月利下げ確率も90%を超えて、市場では織り込み済とされた。
ところが、その後、FRB高官たちが、講演などで、雇用よりインフレのほうが懸念材料と語り始め、粘着質のインフレを本気で年率2%目標値まで下げるには、利下げなど、論外といわんばかりの展開となっている。

雇用と物価の安定は中央銀行の使命だが、両方を同時に満たすのは難事である。その結果、現状では、12月利下げ確率が43%にまで急落した。
これほどに確率が大きく変動するのは稀だ。

背景として、米政府機関閉鎖が長引き、雇用統計・CPIなど重要経済指標も発表が遅れ、FRBとしても「データ次第」の金融政策決定が難しくなっていることが指摘される。
市場への影響も、利下げ期待で上がってきた株価と金価格には逆風。外為市場ではドル高円安に振れ、160円説まで出始めた。
国際金価格については、先週は基本的に上昇基調であったが、金曜になって売り込まれた。結果的に調整期間が長くなり、これは、後々の事を考えれば、良い現象と筆者は見ている。あっさり4,000ドル台が値固めされては、しっぺ返しの可能性が強まるからだ、円建て金価格には円安の影響が寄与するであろう。

なお、話題は変わるが、中国が対日姿勢を硬化させていることは、筆者が懸念していたことであるが、かなり心配している。
個人投資家も、改めて、「アジアの中の日本」を体感することになろう。台湾有事という地政学的リスクが日本人投資家の金買いに拍車をかける可能性ありと見ている。
「金は持っていて役立たないのが一番」
と常々語ってきたが、本件は、本当に役立ってほしくない。

さて、金についての、Youtubeを公開してみて、アクセス数は良いのだが、総じて、Youtubeの世界では、地味に貯める感覚で金を買うことが、あまり共感を呼ばない感じだ。
「一攫千金」狙いの若手の投機家が、ギラギラとした感覚で、金に興味を持っている感じ。そのような世界で、筆者の自説をあくまで曲げずに通すことはエネルギーが必要なようだ。

ブログ読者ならお馴染みの「金貨アルバム」の話も、嫁ぐ娘を思う母の気持ちはスルーされ、「それって脱税!?」との反応が目立った。たしかに、金貨の価値も大きく値上がりしたので税の問題は大きくなろうが、「センチメンタル・バリュー」を全く感じないというのは、いかにも寂しい。
まぁ、忍耐強く、Youtubeの世界でも、金啓蒙活動を続けてゆくよ。
二本の、Youtubeだけでは、とても語りきれないし。
他の金の、Youtubeも見たが、俄か金専門家が増えていることを、ここでも体感。論調を見るに、株がバブルっぽいので、金を勧めている様子。
ヒラリと姿勢を変える術はお見事(笑)