今週起こった日米株波乱の「火元」が、マイケル・バリー氏という、株「空売り」のカリスマ名人と判明した。彼が率いるヘッジファンドが、パランティア社という人気のAI銘柄の「プット・オプション」を購入していたことが、SEC(米国証券取引委員会)により必要とされる四半期ごとの、保有銘柄開示により、確認されたのだ。
更に、彼は、超人気のエヌビディア社のプットオプションも購入していた。「プットオプション=売る権利を買う」ということは、当該銘柄の株価が下落したとき、儲かる仕組みなので、一般的には、相場下落時のためのヘッジとして使われる。しかし、バリー氏の場合は、当該銘柄を保有していないのに、売るという所謂「空売り」で積極的にリターン(儲け)を狙い「空売り攻撃」を仕掛けたのだ。
バリー氏は「The strong short」という二つ名を持ち、同氏の映画が制作公開されたことがあるほど、有名な存在ゆえ、プット・オプションの総額が10億ドル程度でも、NY市場を震撼させたのだ。
そして、今回は、既に調整局面入りしていた金価格と、米AI株の下げが同時に共振するという成り行きになった。ときあたかも、金もAI株も、バブルではないか、との議論が、NY市場では論じられていたので、騒動は拡散して、日経平均も大幅に下げる局面が生じたと言える。
しかし、所詮、投機筋の仕業ゆえ、24時間で収束に向かった。
本日は、株も金も反騰している。金価格は下記のKITCOグラフ緑線が最新の動き。
一時は、3,920ドル近傍(ロコロンドン)まで急落したが(赤線)、この24時間は緑線で示されるように、3,980ドル超まで戻している。
今年、現水準まで暴騰した後のことゆえ、筆者は、もう少し長く「値固め」が続いたほうが、長期的上昇トレンド形成のためには、良い事と思っているところだ。
金下落の背景として、米中緊張緩和が指摘されるが、筆者は、習近平とトランプが仲良しになることなどあり得ないと確信している(笑)


