前日のKITCOグラフ

昨日のNY市場は、寄り付き前からナスダック先物が時間外で急落して、異様な雰囲気が漂っていた。
そもそも、米ハイテク株も金も今年に入っての価格上昇がハイ・ピッチでバブルではないか、との議論が盛んであった。
そのような市場環境の中で、まず金が売られ始めた。
それを見た米ナスダック市場でも、人気ハイテク株に売りが出始めたのだ。
ちなみに、仮想通貨も同じタイミングで売られ、原油価格も下落。
まさに、何でも売られる日となった。

 


金とハイテク株に共通するのは、直近の高値圏を短期投機筋が主導していたことだ。
それゆえ、金の売りが株の売りを誘発する結果となった。
金価格にも、本欄で散々述べてきたように、スピード違反気味の様相はあった。
株の損を金の利益確定売りで補う事例も見られた。

 


(なお、金価格急騰はバブルではない。世界の中央銀行が外貨準備として金を長期退蔵しつつあるからだ。
対して、米ハイテク株を買う中央銀行など世界中見渡しても、無い!外貨準備に株を保有するなど禁じ手である。)

 


そして、今日の東京株式市場に売りが伝染。
本稿執筆時点で日経平均が2,000円を超す暴落を演じている。
金もKITCOグラフの緑線が示すように、3,920ドル近傍まで下落する局面もあった。

 


さて、これから、どうなるか。
結論から言えば、金はNY市場でhealthy down day(ヘルシー・ダウン・ディ)と言われ、健全な調整局面にある。
対して、株価は危うい。
人気銘柄のエヌビディアの時価総額が、なんと5兆ドルを一時突破。
日本では、ソフトバンクなど数社の銘柄だけで、日経平均の数千円分を占めるという異様に偏った価格変動。
日本株を海外勢が1兆円規模で買い漁っているとの報道もあった。
とはいえ、1社で5兆ドルのNY市場から見れば、1兆円など微々たる額だ。

 


なお、金が株と異なる点は、実物資産として独自の希少価値を持つことであることは言うまでもあるまい。
但し、NY金市場では荒っぽく稼ぐことを仕事とするヘッジファンドなどの投機筋も短期売買を繰り返しているので、
ここは、今後とも要注意だ。
毎度書いてきたことだが、彼らの派手な動きを見て一喜一憂してはならない。
俯瞰すれば、今は4,000ドルという大台突破の真っ最中といえる。

 


今後も、荒い値動きは続きそうだ。
このブログでは追いつけない部分は、Xの@jefftoshima で補っている。