米信用不安が勃発して買われた後で、先週金曜日には、急反落となった。
KITCOグラフ、赤線、緑線が、その下げっぷりだ。
といっても、1年グラフで見ると、ちょっぴり、頭が叩かれた程度だけどね。
それでも、連日のように高値更新が続いていたから、筆者は、下がってホッ。
健全な調整だよ。
これまでの連騰が、あのまま続いていたら、間違いなく、市場では金バブル論が、ここぞとばかりに噴出していただろうね。その意味で、金曜日は「冷やし玉」とでもいおうか、熱狂感に冷や水を浴びせる意味があった。
背景としては、米地銀信用危機といっても、経済ショックを惹き起こすほど、地銀決算は悪くない。金曜のNY時間オープン直前に、米格付け機関のアナリストが、米CNBCテレビに生出演して「問題ない。One-off一回ぽっきりの異常だ」と、語っていた。
筆者の見解は、中長期的問題として、ノン・バンク部門が、隠し債務や、インボイス・ファイナンス(請求書を担保の借り入れ)を見抜けなかったことが重要で、後を引く。地雷がいたるところに埋まっているということだ。だからこそ、JPモルガンのダイモンCEOが、「当行も若干、見落としがあった。ゴキブリ一匹見つけると、必ず数匹いるものだ」と述べたわけだ。
総じて、直ちに、リーマンショックの如き危機的状態になることは考えられないが、いつなんどき、新たな信用不安が勃発しても不思議はない、ということだ。ノン・バンク経由(プライベート・クレジット)で数兆ドルが流れているとされる。
金市場に関していえば、ドカ雪の如く積みあがった、投機的買いポジションが、自重に耐えかね、新雪表層雪崩を惹き起こしたものの、根雪の部分は、ファンダメンタルズに支えられ、しっかり残る。
今の金市場にはconviction buyer(確信派)とopportunistic buyer(ひよりみ派)が同居するが、今回のような下げ局面で、後者がふるい落とされ、結果的に、金の長期上昇相場は堅固になってゆく、と見る。
なお、高市首相誕生の可能性高まり、日本株は盛り上がっているね。金に関しては、円安っぽいので、円建て金価格にはプラス要因。NY市場では、国際金価格に影響を与えるほどの重要要因ではなく、軽くスルーされている。
妥協の連立の結果の高市政権。前途は多難。日経平均5万円も考えられるが、所謂「市場の蜜月期間」が終われば、株式市場では厳しい洗礼が待ち受けていよう。
さて、昨日は、TBS系「サンデーモーニング」で金特集。「古い金ジュエリー売って大儲け」のパターンではなく、まともに金についての説明を試みていた。筆者のコメントもまともに紹介されていた。地上波の視聴者の多くは、金に関しての知見が著しく低いので、相変わらず、「プール4杯分」の話から入った。
振り返ってみれば、筆者が1989年、ワールド・ビジネス・サテライトで、金について語ったとき、やはり、プール何杯分とか、語った記憶がある。当時のキャスターは、小池百合子氏(当時はユリ子氏)。
その時も、昨日も、「プールx杯分」。
未だに、一般視聴者は、「ホー」と感嘆。私の感想は、「金の啓蒙、先は長いな~」
友人たちは「豊島のプールx杯の話は聞き飽きた。よく、そのネタで、何十年も仕事してるよな」
筆者は、こう切り返す。「私は、細川たかしの大ヒット曲、「心残り」(私、バカよね♪)が好き。ただ、歌っている本人が、飽きてしまって、今は、色々、アレンジして歌っている。
でも、私は、彼が、ススキノのキャバレーで歌っていた頃の、あのオリジナルの歌い方が好きなんだよな~」
金の話も、アレンジは禁物(笑)


