金は4,100ドル突破、銀は52ドルで45年ぶり高値(いずれもスポット価格表示)。
まず、銀に何が起こっているのか。
一言で言えば、銀現物市場の中心的存在であるロンドンから、銀が消えた、と言われるほど、品薄、更に、在庫が枯渇する状況になったのだ。
何故?
銀は熱伝導性が良いので、精密機械部品の素材、更に、ソーラーパネルなどに使われる。加えて、近年は、銀ETFなど、金融商品としての需要も増えた。そして、決定打は、トランプ政権が、銀や銅など「重要金属」の国内生産を増やすために、銀の輸入に対して制限をかける可能性が浮上していること。年前半にも、貴金属が関税課税対象になるかもしれない、との予測が流れ、駆け込み的に米国内に現物が搬入される事態が見られた。今回も、関税を課す可能性が捨てきれない。
但し、銀は金に比し「かさばる」ので、空輸するにも限界がある。それゆえ、銀現物の世界的品薄感は強まるばかり。実需で銀を買うユーザーのみならず、NY先物銀市場で、銀を買う投機的な動き(悪乗り)も目立つ。そもそも、投機なくして、このような短期間で大幅な銀価格急騰は考えられない。
では、これから、どうなる。
結論から言って、「高値こそ高値を冷やす」英語ではhigh price cures high priceと相場格言で言われるとおり、現状の異常な状況は、高値が続けば、自然に収まることになろう。投機的高値が継続して、上げ余地が少なくなれば、投機筋にも「うま味」がなくなり、銀価格のボラティリティーも低下するであろう。いずれ落ち着くところに落ち着くと見る所以だ。大げさに一喜一憂するなかれ。騒ぎたい奴には騒がせておけ。
次に、金。やはり連休中に最高値更新。貴金属セクターで、シルバー・フィーバーに刺激され上昇した面も否定できない。
但し、産業用金属の銀は安全資産とは言いかねるが、金は、安全資産として、引き続き、中央銀行の買い継続が見込まれる。
更に、日本とフランスで、同時進行的に、「政変」が生じて、どちらの国も財政赤字悪化が懸念されること。
地政学的リスクも、ハマスの人質解放や、トランプ氏の、「中国については心配するな」という書き込みで、後退した感があるが、NY金市場で、それを額面通りに受け取る人たちはいない。中東・中国リスクは依然残る。唯一、米株式市場では、トランプ書き込みが歓迎され株価が上昇した。株式市場は楽観で育ち、債券・金市場は悲観で育つ、と言われるとおりだ。
アジア中東の平和を信じる人は株を買い、信じられない人は金を買う、とでもいえようか。
なお、筆者が気になるのは、米国で信用不安リスクがジワリ強まっていることだ。これについては、Xの@jefftoshimaに書いた。
(ちょっと、今日は、取材が相次ぎ、丁寧に説明する時間がない。これから、TBSテレビ朝番組のThe Timeのビデオ収録などを、こなさねばならず、汗!)
最後に公明党離脱で、日本の次の首相が誰になるか、NY市場でも意識はされているが、基本的に不透明なので、軽くスルーという感じ。
最後に今日の写真は、九州は「あらお」の超大型梨。
今年のは、特に甘い!旨い!


