日本では考えられないことだが、米国の現財務長官が、次期FRB総裁候補11名と、「第一次面接審査」を進めていることを、自ら、米CNBCのインタビューで明らかにした。

現時点は、9月FOMC直前の「ブラックアウト期間」(参加者が公的発言を控える時期)ゆえ、面接を中断している。FOMC後、残りの候補者との面接を再開。3-5名の候補者に絞り込み、二次面接をトランプ大統領にバトンタッチするという。

候補者として名前が挙がっている人物たちは以下の通り。
ハセット現国家経済委員長
ボウマン現FRB副議長
ウオラー現FRB理事
ウオルシュ元FRB理事
ジェファーソン現FRB副議長
ローガン現ダラス地区連銀総裁
ブラード元セントルイス地区連銀総裁
リンゼー 元FRB理事
サマリン経済学者
リック・リーダー ブラックロックCIO
ゼルボス ジェフリーズ チーフマーケット ストラテジスト

日本では次期自民党総裁候補の支持率が話題になるが、ウオール街では、この11名の支持率が注目されている。様々な憶測も含め、支持率の数字が市場には流れるが、ハセット氏、ウオラー氏、ウオルシュ氏の3名が「一歩リードか」という印象を受ける程度の段階だ。

マーケットでは、リーダー氏とゼルボス氏が、経済テレビのコメンテーターとして、頻繁に登場するので、一定の人気度がある。筆者も、この両名のコメントはよく聞くのだが、「候補者リスト」に載ってからは、やや利下げ支持的なトーンが感じられる。やはりFRB議長といえば、特別な名誉職であり、候補者に自らの名が挙げられるだけで、誇らしいことなのであろう。

それにしても、日本人の目から見れば、現職の財務長官が、次期中央銀行総裁候補の面接を行い、テレビで、そのプロセスを語ることなど、信じがたいの一言だ。
現政権の経済政策に関して批判的発言をするエコノミストの解雇を求めたり、一部メディアを批判したり、トランプ氏の「ごり押し」は強まるばかり。本日発表予定の雇用統計も延期されるなど、通常の経済的議論の前提を覆す如き次元のことゆえ、マーケットの異様な警戒感も拡散が加速している。

なお、本日金曜日のワールド・ビジネス・サテライトで、金高騰について語る予定。