結論からいえば、2万円は通過点。

NY市場では、4,000ドルがconservative(控え目)な予測に傾いており、外為市場では円安傾向が顕在化している。


具体的要因を、改めてリストアップしてみよう。

1.世界の中央銀行が、毎年1,000トン前後の金を外貨準備として購入。
しかも超長期の「退蔵」だ。年間生産量が3,600トンほどの市場ゆえ、公的部門が退蔵すれば、価格水準は長期的に切り上がる。

2.地政学的リスク。
有事の金は一過性の影響の傾向が強いが、現在は、中東・ウクライナ・台湾など複合的有事になっており、これまでより、持続的要因になっている。

3.米利下げ。
これは利息や配当を生まない金には追い風となる。但し、利下げを急ぎすぎると、インフレが再燃するリスクがある。特に、今後、関税による物価高が懸念される。それゆえ、「利下げ」というより、「米金融政策の不透明性」。更に、トランプ大統領の強引なFRBへの介入が眞の問題だ。広義の「トランプ・リスク」に対するリスク・ヘッジとも位置付けられる。

なお、足元では、今週3日発表予定の雇用統計が延期されるリスク。加えて、米政府機関閉鎖の可能性などが、投機筋により、買いの口実として利用される可能性がある。あくまで、投機買いの理由付けと見るべきだ。

長期的金価格上昇傾向について、筆者が肌で感じることは、NY市場で、金が新たなアセット・クラスとして認知され、ポートフォリオに組み込むことが当たり前の現象になっていることだ。

これまでは、金は金利も生まず、投資適格商品ではない、との位置づけが主流であったが、今年は、はっきり、その考え方が変わった。

金購入者も、これまではgold bug(金の虫)と揶揄されてきたが、今や、そのような斜めに金を見る傾向は少数派になった。

「バブル」というような単純な括りでは論じることが出来ないレベルの展開といえよう。