上の72時間グラフが、中東戦争勃発で、国際金価格(スポット)が、どう動いたか、雄弁に物語っている。

まず、すわ有事の金だ、買いだと急騰。赤線が3,450ドル近傍まで上昇線。このときは、筆者は、これは3,500ドル突破だな、と思った。メディア取材にも、「異次元の中東発地政学的リスク、3,500ドル必至」とコメントして、実際、活字で流れた。
ところが、その後、原油・株価が反発・上昇に転じたあたりから、様子が不可解になった。日経平均も上がり、中東緊迫なのに「謎の株高」と言われたほど。国際金価格も、3,500ドルどころか、3,300ドル台まで急反落。

結論から言えば、今回のイスラエル・イラン戦争は、このまま続けば、イスラエルの攻撃が断然有利、そこでイランが核開発につき妥協の道を探るのではないか、とのウオール・ストリート紙の観測記事が材料視された。戦争が、これ以上、エスカレートせず、ディ・エスカレートに向かうとの見方が強まった。そこで、市場のセンチメントも一気に「解決の道を模索」とのシナリオに傾いたのだ。

とはいえ、鍵を握るのはトランプ。米国はイスラエル支持だが、イランとの核協議も交渉を絶ちたくない。背後には。ロシアや中国の影がちらつく。ここで、トランプは、どのように動くのか、現時点では未知数だ。トランプがイランを突き放せば、戦況は再び悪化。金市場も売りから買いに大転換は必至。いずれも、現時点の観測であり、筆者も、どちらに転ぶのか読めない。
但し、国際金価格が3,300ドルを割り込むことはないであろう。
中東だけが金上昇の理由ではないことは、本ブログ読者なら、お分かりのはずだ。

今週は、FOMCもあるが、金価格への影響は軽微と思われる。FRBも「読めない」のだ。
そして、トランプ自身も、朝令暮改と言われるとおり、自分の仕掛けの影響がどうなるか「読めない」のだ。
金価格については、3,300ドルは固いゆえ、そうジタバタすることもあるまい。3,500ドル突破の理由など、これから、いくらでも出てくるよ。