NY市場で、著名なアナリストのヤルディニ氏が、トランプ関税をものともせず、旺盛な個人消費意欲を見せているのが、ベイビー・ブーマー世代だと語った。日本流にいえば、「団塊の世代」である。同氏は、自らが同世代であり、関税で物価が上がっても、消費意欲は衰えず、米国経済の下支え役になっていると述べる。(米国GDPに占める個人消費の割合は7割近い)。
筆者も、団塊の世代だが、確かに、同年代の知り合いたちは、自分の趣味やら、孫のためやら、「墓場までおカネを持っていってもしょうがない」とばかりに、消費に走っている。
現役世代から見れば、団塊の世代に課税強化しろ、という議論になるかもしれない。
氷河期世代に比し、少なくとも、バブル期に、楽しい思いをしただけでも、恵まれていた。投資の面では、「バブルの夢をもう一度」とばかり、「儲かりそうなもの」発見に熱心である。そう簡単に見つかるはずもないが、人間というものは、一度、夢実現を体験すると、その快感が忘れられなくなるものだ。
ゴールド・セミナーでも、バブル体験組は、「どこまで金は上がるか」と質問を投げかけるが、氷河期組は、「金が下がるとすれば、どこまで」と問うてくる。その対比が鮮明だ。
とはいえ、その氷河期組でさえ、最新の状況では、「金はもっと上がりそう」と考える人たちが増えてきたことも事実だ。それだけ、リスク・ヘッジの必要性を痛感しているのであろう。
筆者は基本的に長期上昇を語るが、「市場関係者の皆が同じ方向を向くと、相場は逆に動く」事例が多いので、あまり入れ込むな、と諭しているところである。