昨日午後、久しぶりにブログ書いたときは、NY金3,320ドル台。上の図の緑線(スポット)では3,300ドルそこそこであった。
それが、今朝は、NY金8月もので、3,400ドル突破。
これは、さすがに解説せねばなるまい。
いくつかの複合要因が共振して金価格を引き上げた。

1.トランプが中国の関税関連対応が遅いと非難したことから、米中関税協議とん挫の可能性。但し、ベッセント財務長官は、日曜の米CBSニュース番組で、「週末にトランプ・習近平対話が予定されており、折り合いの可能性もある」と発言。

2.アルミ・鉄鋼製品に対する関税を25%から50%に引き上げ。EUは特に激しく反発。米国内、関連産業は、熱烈歓迎。

3.来年の中間選挙を視野に、いよいよ大型減税恒久化の動き鮮明に。米国財政赤字膨張問題を、米債券市場では、特に、強く問題視。米国債発、米国売り第二波もちらつく。

4.外為市場では、ドルインデックスが98にまで低下中。国際基軸通貨ドルに対する信認低下顕著。

5.FOMC議事録で、スタグフレーションが話題になったことが確認。

6.それに関連して、ウォラーFRB理事が、利下げ不可避との発言。不況に対する救済的利下げというより、インフレ指標(PCEインフレ率)が順調に低下しているから、金利水準を引き下げるべきとの論。市場では、年内利下げ回数予測、1回から2回に増えた。金利を生まない金には追い風。なお、原油と住居費を除くスーパーコア・インフレ率が低下していることも注目されている。

7.ウクライナが、3,000キロ以上離れたシベリアのロシア長距離空輸基地にドローン攻撃。これは筆者も驚いた。ロシア深部の核戦争対応の長距離戦略爆撃機100機のうち30機が破壊されたという。衝撃的な地政学的要因である。


以上、これだけ重要要因が並ぶと、異次元の金価格展開が視野に入る。
今週は、要経過観察である。
特に、7番目の要因は、日本人として、つくづく、金を長期保有して役立たないのが一番と痛感する。