国際金価格が瞬間タッチで3,500ドルをつけてから、3,300ドル割れ水準まで急降下している。とりあえず3,300ドルを回復したものの、リバウンドは弱い。相場の形で見れば、急騰後急落により、三角形でアタマを打った様相だ。
金市場の内部分析をしても、既に歴史的高値圏で、買い控えによる実需現象が明らかだ。文化的金選好度の高いインドと中国の現物購入は、今年に入って、趨勢的に減少傾向にある。


結局、3,000ドルから3,500ドルの過程では、先物と投機的な金ETF売買が、相場を主導した。特に、NY先物勢と上海黄金交易所での中国勢の投機的売買が、共闘して相場を吊り上げたというのが実態だ。いずれも逃げ足は速いマネーだ。特に上海勢の見切り売りの可能性には要注意だ。

しかも、今回のような超速度での相場上昇が進むと、これまで採掘された金のリサイクル売り現象が顕在化する。相場が急騰しているときには、待って少しでも高く売りたいと自制するもの。それが、ひとたび、相場が下がり始めると、安くなる前に売ろうと、我先にリサイクル売りに走るものだ。これは全て人間の欲がなせる業である。


とはいえ、中期的に、トランプ経済政策の不透明感は晴れず、インフレ再燃、景気後退の同時進行リスクは払しょくされない。スタグフレーションになれば、これは、ゴールド(金)独り勝ちのシナリオとなる。既に利益確定の売りを入れたヘッジファンドも、安値圏では、再参入が見込まれる。

今後は、軟調な局面が続くが、年内、再び3,500ドルへの新たな買いの波が生じても全く不思議はない。
このような状況下だが、安全資産を求めるマネーの一部が、徐々に、金から米国債に「里帰り」する現象が散見されるようになった。やはり、米国債市場規模は断トツだ。対して、金市場の規模は小さい。ビッグマネーの視点では、安全資産としての金は、あくまで「雨宿り」に過ぎない。


写真は、以前、日経新聞「交遊抄」で紹介した鮨屋「誠」にて。ソフトクリームの出前(笑)