今週に入って、俄かに、NYの市場関係者のドル円予測が円高・ドル安に大きく変わっている。主として、年末までに130円台を見込む見解が急速に増えている。
やはり、相互関税ショックの影響は長引くとの想定が強まっているのだ。「為替操作」も相互関税では、「非関税障壁」という曖昧なカテゴリーの一項目となる。
まず日本が国別会議の優先権を得たので、NY為替市場でも、ドル円が話題にあがる。ドル安志向という点においては、日米とも受け入れられる素地があるので、声明文にも、具体的に盛り込まれることが予想されている。米国の景気後退予測によりFRBが利下げ回数を4回ないし5回に増やすとの見方が主流になってきた。
対して、日銀の利上げはこれまでの予測より遅れそうだが、NY市場主導のドル安を日本側も受け入れるであろう。為替介入がなくとも、自然な流れで日米合意により円高が見込まれるのだ。
日本側では、マーケットのプロで知日派のベッセント財務長官に対する期待感が強いが、NYでは、トランプ大統領への忠誠心で財務長官ポストを射止めたとの見方が多く、結局、トランプ氏の指示を忠実に実行する人物とみなされている。とはいえ、日本が優先権を得たことは評価され、その成り行きは注目されている。おそらく日本には受け入れがたい提案が出されようが、為替だけは、貴重な合意点となりそうだ。