2,500ドル台前半で膠着していたNY金が、昨晩、突然、急騰。
中心限月12月ものは2,587ドルをつけた。
添付KITCO価格グラフは、現物スポット価格だが、やはり2,560ドルに迫っている。
急騰が始まったのは、NY市場で、PPI(生産者物価指数)が発表された直後。
なぜ、このタイミングで?
9月に入ってからのNY市場は、9月17~18日開催のFOMCがメインテーマ。
いよいよ米利下げが始まることが確実視されている。
とはいえ、FOMC前に、重要な経済インフレ指標が3つ発表され、その結果次第では、利下げペースが大きく変わるリスクも秘めていた。
雇用統計、CPI(消費者物価指数)、そしてPPI。
そして、発表された結果は、3指標とも大きなサプライズにはならず、0.25%か0.5%幅の利下げになることが確認された。
そこで、焦ったのが、NY先物市場で金の空売りポジションをかかえた投機筋。
慌てて、買い戻し(ショートカバー)に走った。
FOMC直前に金価格が大きく動くことはあるまい、とタカをくくっていたのだが、見事に逆を突かれた。
更に、NY金のチャートを見ると、200日移動平均線と50日移動平均線の両方を上抜けた形となり、テクニカルにもインパクトがあった。
ECBが利下げを発表したことも、「世界的利下げの潮流」を連想させ、金利のつかない金には追い風となった。
かくして、新規買いというより、ショートカバーで金価格が急騰したので、このまま2,600ドル突破は考えにくいが、中期的に、2,700ドルの可能性は強まった。
但し、円建て金価格は、円相場が160円か140円かで、相当違うので、円建て金価格の上昇ペースは、これまでのようなスピードにはなるまい。
ドル建ても円建ても連日高値更新などという状況は、当面見込めない。
ここは、これまでと大きく異なるところだ。
中長期的には、国際金価格の上昇トレンドが、ワンランク、アップしたと見るべきであろう。
2,600ドル、2,700ドル…。
金が、こんな歴史的高値圏の射程圏内に入ってきたのだ。