NYのヘッジファンドなど投機筋と突っ込んだ会話をしていると、消費者物価上昇率(コア)が下がらず、前月並み、或いは上振れとの見方が目立つ。
それゆえドル円のポジションも概ね158円程度を視野に置いている。
その理由は、キーワードで言えば、「ラグ」。
そもそも、消費者物価上昇率の1/3前後は、住宅コストだ。
しかし、家賃は、下方硬直性が強い。
パウエル議長も前回の記者会見で語っていたことだが、家賃更新の場合、家主の立場では、いきなり大幅に上げにくい。
しかも、新築住宅購入より賃貸を選択する傾向が相変わらず続いている。
結果的に、消費者物価統計に家賃増が反映されるのには時間を要するわけだ。
更に、サービス産業の代表格である医療セクターは、そもそも高いコスト水準からの緩やかな下落基調ゆえ、消費者物価上昇率に反映されるには「ラグ」がある。
自動車保険も、自動車価格高騰から「ラグ」を経て統計に表れるのだが、実態は、いまだに高水準にある。
かくして、明日発表の米消費者物価指数は概ね前月並みとはいえ高水準といえる年率3.8%を見込む投機筋が目立つのだ。
各種の事前予測では3.6%が多いが、遅行指標ゆえ、素直に受け入れがたいようだ。
外為市場では既に156円台半ば近くまで円安が再進行しているので、158円は「保守的」とさえ見られている。
日本の通貨当局も、15日は、再び、24時間臨戦態勢となろう。