「有事の金」の本来の意味は、「平時」に金を買って、将来の「有事」に備える、ということだ。
そのうえで、いざ、本当に有事が勃発した場合は、金を売って凌ぐことができる。
「有事」になってから金を買っても「高値掴み」のリスクが常についてまわる。
特に、投機筋は、例えばイスラエル報復の可能性という「噂」の段階で、金を買い、実際に報復というニュースが流れると、「利益確定の売り」に走る。
これを「噂で買って、ニュースで売る」と言う。
筆者がスイス銀行チューリッヒのトレーディングルームで最初に叩き込まれたことであった。
それゆえ、個人投資家が、イスラエル報復のニュースで「有事の金」を買うことは、梯子を外されるリスクがあるので要注意だ。
本日の金の値動きを見ても、イスラエル報復の第一報でNY金(中心限月6月)は時間外で2,390ドル台から一気に2,420ドル台まで急騰したが、その後、報道が確認されると、日本時間12時台には、2,400ドル台まで急落している。
NY時間帯に入れば、投機筋の空中戦となろう。
一般個人投資家は、つみたてNISAのように、平時から、コツコツ積み立ててゆくことが「金投資の王道」なのだ。