(本稿は月曜早朝に書いている)
金市場には1970年代から現在に至るまで「中東筋」という投機集団がいる。
筆者も見知った顔で、独自のソースで中東情勢に関する生の情報を持っている。
イラク戦争開戦時には、その6か月前くらいから、開戦必至と読み、金買いポジションを膨らませ、いざ開戦となったとき、一斉に利益確定売りに走った。
「噂で買ってニュースで売る」という常套手段の先駆者だ。
今回も、NY時間12日金曜日に、イラン報復の可能性が高いとの一般的な「噂」で強力な買い攻勢を仕掛け、NY金を2,440ドル超の高水準まで100ドル近くも急騰させた。
数時間の値動きとしては異例である。
しかし、その直後から、なんらかのイラン報復攻撃の確率が高まるや、一転、利益確定売りに転じ、NY金を2,350ドル台まで100ドル近く急落させた。
行って来いの典型的ゼロサムゲームだ。
この有事の常套手段は、「噂で買って、ニュースで売る」と呼ばれ、その後、他の市場でも起こるようになっている。


なお、週明けのNY金は、それでも2,300ドル台の高値圏で推移しよう。
中東情勢がエスカレートすれば2,400ドル台回復の可能性もある
今回の中東迷走では、様々なシナリオが乱れ飛ぶことが、金の中東筋にとっては、この常套手段を駆使しつつ、短期的売買を繰り返す格好の機会となっている。


なお、彼らの煽りで「有事の金」を買った個人投資家は、梯子を外され、高値を掴まされた。
これを教訓として、筆者は、「有事の金の爆買いは悪魔の選択」と冷静な行動の必要を説いている。
やはり、金はじっくり買い増すものだ。