本稿は12日早朝に書いている。
その時点で、時間外だが、NY金(中心限月6月もの)が2,393ドルまで急騰している。
これは、リスク回避、或いは、質への逃避の現象だ。
3月消費者物価指数が上振れしたことで、利下げは先送りされるとの観測が強まり、利下げ開始時期と利下げ年内回数に関して、様々な説が流れ、マーケットは混乱。不透明感が強まっている。
新聞の見出しだけ見ても、「米利下げ、大統領選まで先送り説浮上」かと思えば「ハイテク株再騰、米利下げが7月なら買える」など、諸説紛々で投資家はどれを信じて良いのやら。
このような地合いのとき、マネーはリスク回避、質への逃避で、「安全資産」とされる米国債と金に流れやすい。
特に、今回は、米国債が既に格下げされ、売られる傾向が強まっている。(債券市場では、国債が売られると利回りは上がる。売られると金利が上がるということが初心者には分かりにくいところだ)


その結果、金が逃避マネーの受け皿になる傾向が強まっているのだ。
とはいえ、NY市場が引けてから、東京市場が始まるまでの3時間で20ドルも急騰しているのは、取引が薄い時間帯を狙った投機筋の仕掛けがバレバレだ。
そもそも、今回の金急騰劇は、このようなプロの手口が目立つ。
まだ、夏頃までは、金は上げ基調が続くと思うが、現時点で利下げ開始時期とされる7月か9月になると、要注意だ。
「噂で買ってニュースで売る」というヘッジファンドの常套手段が透ける。


それから、「ジンバブエ、窮余の金本位制回帰、金裏付け通貨発行」というニュースが流れている。
10兆ジンバブエドル紙幣まで発行された国での話で、金裏付けと中央銀行が保証しても、朝令暮改が続いてきた国ゆえ、国民は信用せず、米ドルか南アランドが流通している。ちなみに、本欄アーカイブの2022年5月27日付で、文中にジンバブエの名前が出ている。


「金」を買いたがる日銀OBたち | 豊島逸夫による金市場の解説 


財務省OBの知り合いも、退官後に金を買いたがる傾向がある。キャリア組として中核にいた人物が「日本はいつかジンバブエになる」と真顔で語る。
トンデモ本に感化されたわけでもない。
平然と、「自分は日本国のバランスシートを作成してきた。退職金を円で保有するリスクを痛感している」と語る。


と書いている。
怖い実話だ。