イスラエルのシリア領内イラン大使館周辺空爆に対して、イランが黙っているわけがない。48時間以内の報復がNY市場では懸念され、ホワイトハウスの報道官も否定しなかった。中東リスクはエスカレートして、原油価格は急騰。100ドル突破も視野に入る。

この中東情勢混迷は、国際金価格に二つの影響を与える。

一つは、地政学的リスク。
そして、原油高によるインフレ再燃リスク。

金価格上昇のダブル・エンジンが全開といえる。

但し、インフレ再燃リスクは、曲者だ。
これまで、FRBはインフレ収束に向けて引き締め(利上げ)を断行して、その結果、インフレ率は2%台まで下落してきた。
そこで、もう、そろそろ上げすぎた政策金利を下げる所謂「利下げ」に転換すべし、との議論が強まった。
その矢先、中東リスク・エスカレートが生じたので、利下げは時期尚早との議論が浮上しているのだ。
昨晩は、ミネアポリス地区連銀総裁が「24年に利下げはゼロの可能性も否定しない」と語った。
金利を生まない金市場は、既に24年利下げを大歓迎して織り込んでいたので、それを、かくも真向から否定されると、大ショックである。

まず、株が急落。
金も、カシュカリ発言直後から20ドルほど急落を演じた。それでも2300ドル台は維持されているけどね。最高値圏での小さな波乱といえようか。この際、利益確定売りに走る投機家も少なくなかった。
なお、株急落は金上昇要因にもなる。


かくして、金国際価格は、史上最高値更新後、若干反落したが、2300ドルという歴史的最高値圏に留まる。
まだまだ上昇エネルギーが強い。


そして、今晩には、雇用統計というビッグイベントが控える。
金価格も乱高下しそうだ。
シートベルトを低く強く締めて!