イースター休暇前の昨晩は、NY金先物価格が史上最高値を更新した。
今日は、率直に話す。
理由は特に無い。
短期的ファンドによる投機相場だ。
しかし、史上最高値圏で、この説明できない相場が続いてきた。
筆者の長年の経験で、説明できない相場が長続きすることがあるものだ。ファンド筋は、理屈は無視して、モメンタム(市場の勢い)に乗り、売買を繰り返す。2100ドルくらいから、買っては売りを7-8回は続け、連戦連勝ゆえ、心理的余裕もある。


それにしても、所謂市場の法則からいえば、今の金相場は下がってしかるべきなのだ。
まず、米国の利下げ。
「FRBが史上最速利上げを敢行したが、懸念された不況に陥るどころか、米GDPは、昨日も23年10-12月期の確定値が発表されたが、なんと年率で3.4%。インフレは確実に鈍化して、GDPは良いのだから、ここで、利下げなど余計なことをすれば、資産価格バブルを誘発するだけだ、との議論が優勢になっている。
次期FRB議長候補にも名前が挙がるウオラーFRB理事は、利下げを急がず(no rush)場合によっては、3回とされる利下げ回数を減らすこともありうるとまで述べた。

この論調は、金利を生まない金には逆風となるはずだ。
2024年は利下げが3回以上あるという想定が、金利を生まない金にとっては、強い買い要因であった。その前提が崩れつつあるときに、NY金が2300ドルを志向する展開になっている。


さらに、中央銀行の金買いも、そもそも外貨準備は、ドルなどの金額表示で、金の重量表示は使われない。金価格が上がれば、実際に買われる金の量は減ってゆく。実際に、今年に入ってから、中央銀行の金買いは鈍化傾向にある。
そして、中国インドの実需。これまで、高値圏でも堅調であったが、さすがに2200ドルとか2300ドルの高水準では、現物買いがためらわれる可能性が強い。特に、人民元もインド・ルピーも対ドルで安くなっているから、日本と同じく、現地通貨建ての金価格は上げが加速している。
長年、中国人やインド人の金買いはバーゲンハンターと言われてきたが、さすがに、現状の価格水準では手が出ないであろう。逆に、現物の売戻が急増する可能性がある。


かくして、これまで金価格上昇要因とされてきたことが、今は、成り立たない。説明がつかないので「謎の金高」と言われるのだ。
唯一、地政学的リスクは中東・ウクライナ・台湾などで、ライブ(生きている)だ。しかし、足元で、2300ドルを目指すほど悪化しているわけでもない。


円相場については、介入があれば、140円台半ば程度まで、円高に振れる可能性があるが、介入を長期間続けることは出来ないので、日本の金融当局が手を緩めれば、円売り・ドル買いの流れが再び市場の主流となろう。植田総裁も「国債購入は続け、緩和姿勢は維持する」と語って、利上げに戦々恐々だった市場を慰めるつもりが、円安の思わぬ進行で、結果的には、自作自演で介入せねばならぬ状況を演出してしまった。「こんなはずではなかった」というのが本音であろう。

円建て金価格も、暫時、介入による円高で下げても、一服すればまた円安効果で上昇となろう。

筆者は、理屈はあれこれ語るが、そもそもトレーダー出身なので、「相場は勝てば官軍」と割り切っている。

まぁ、米利下げが始まると予想される6月までは、金価格上昇が続きそうだ。6月以降、いざ、利下げ実施となれば、そもそも24年には6回の利下げを市場は期待していたのに、例えば2回だけとされると、さすがに失望感が強まるであろう。それでも、今や、金価格のレンジの下値は2100ドル程度まで切りあがっている。


2024年は、金にとって、歴史的な年となりそうだ。