今朝の朝日新聞朝刊に載った寄稿文の原文。


金価格が海外でも国内でも歴史的高値圏にあります。
振り返れば、1999年には1オンス250ドル、国内では1グラム900円台の最安値をつけていました。
それが、今や、海外で2,000ドル前後、国内では1万円程度の価格水準が常態化しています。
そうなると、「こんな高値から買い始めてよいものか」との素朴な疑問が聞かれます。
もっともなことです。
さて、その答えは?
今後、更なる金価格の上昇が見込まれることが「必至」といっても過言ではない状況ゆえ、買い始める、或いは、買い続けることが正解だと筆者は言い切れます。
その理由は、至極簡単。既に世界的に供給面では陸上での採掘が進み、希少資源として金生産量の継続的増加はもはや見込めないなかで、需要面では、世界の主要中央銀行が外貨準備として年間金生産量の1/3近くを買い占めているからです。
外貨準備といえば、これまでは米ドルが中心でしたが、米大統領選がバイデン・トランプのほぼ二択という極めて不安な政治的局面となり、国際通貨としての米ドルへの信認が低下しています。
そこで、発行体のない通貨という意味で無国籍通貨といわれる金を買い増して、外貨準備のなかで米ドルの比率を下げる動きが顕在化しているのです。
国が金を購入する場合は、民間の金売買と異なり、超長期の保有となるので、金市場では乱高下を繰り返しつつも価格水準が切り上がってゆくのは必至の状況となります。
特に、中国とロシアの公的金購入が多いことは、通貨の世界で米ドルの一極支配構造に対抗するという意図も感じられます。


更に、需要面では、インド・中国・中東という文化的に金選好度が高い地域での民間部門での金製品・金地金購入が、通年の総量ベースで、中央銀行の金購入量を更に上回ることも重要です。
例えば、中国では春節にその年の十二支の刻印がはいった金地金が縁起物として大量に購入されます。
インドでは、嫁ぐ娘に持たせる持参「金」が、文字通りゴールドの宝飾品一式というような習慣が見られます。
ドバイではアラブの黒い民族衣装の下に大ぶりの金ネックレスが着用されている、という風景に筆者は何回も遭遇したことがあります。
このような文化に基づく金購入は、仮に国民所得が多少落ちても、変わるものではありません。


なお、日本国内の金価格は円安で更に上昇に拍車がかかっている面も重要です。
円安による諸物価値上がりが問題化していますが、投資対象として保有する金の価格が上昇する分には、家計にプラスになります。
原油価格上昇が家計を直撃して政治問題化することと対照的ですね。


以上


それから、今日の産経新聞3面の日本株記事でコメント↓


最高値を更新した日本株、死角は中国経済 岸田政権の弱体化も懸念材料(産経新聞) - Yahoo!ニュース


日経平均がこれほど大騒ぎになっているにもかかわらず、金関連の仕事も、引きも切らず。
金と株が最高値圏で同時進行すると、さすがに、旨いものめぐり もかなわず(笑)
今年の未だ2月の時点で、こうなるとは全く想定外。
スキーに行く時間もなく、我慢の日々が続くよ(ぼやき 笑)