今日の東京市場は日経平均祭り。

史上最高値3万8915円(1989年12月29日(大納会)に、あと50円のところまで上昇。しかし、その後、反落した。いずれにせよ、来週、史上最高値更新は時間の問題。
そこで今日の仕事はもっぱら日本株。以下の原稿を日経電子版コラムに書いた。「最も読まれたコラム第二位」。結局、今回も日本人投資家はあっけにとられて見守るだけ。外国人投資家がおいしいところをさらっていった。
情けない。

ウオール街では昨年から日本株への注目度が徐々に高まっていた。23年には「投資の神様」バフェット氏の商社株買い増しに触発された日本株急騰局面もあった。今回24年の海外勢主導による日経平均急騰は、その第二部と位置付けられる。今回の特徴は、短期マネーの投機的先物売買が目立つものの、中長期運用のファンドが日本株を見直し素直に評価したうえでの本格的な買いが出始めていることだ。


米国年金でも理事会で日本株について議論される事例が出始めた。
外部環境としては、マネーの中国株離れが顕在化。米国株最高値更新もAI半導体関連銘柄が人気化して、エヌビディアなど超大手7社に買いが集中という危うさを秘める。
バフェット氏もアップル株を一部売却していたことが今週明らかになった。そこで、これまで「エキゾチック」とのレッテルを貼られた日本株へのマネーシフトが進行しているわけだ。海外勢は、特に「日経平均史上最高値3万8915円」を意識しているわけではない。とはいえ、テスラやエヌビディアの暴騰を経験してきているので、日本株も今のモメンタム(上げの勢い)があれば、日経平均4万円到来も絵空事とはいえないと考えている。ときあたかも、円相場が150円を再突破したことで、「日本株のバーゲンセール」というような表現も聞かれる。更に、単なる割安感だけではなく、ガバナンス改善を見込んだ損保株が買われるなど、株主目線での構造改革も評価されている。日本企業グループの間での「株式持合い」は、市場の閉鎖性を代表する現象として特に評判が悪かった。


とはいえ、2024年の日本株予測で、2月半ばの時点で、現水準まで急騰することは全くの想定外であった。スピード違反気味であり、リスクも少なくない。


まず、海外勢の投機的マネーによる先物売買が、日々の値動きには大きな影響を与えていること。長期的には、少子高齢化により日本企業内の社員人口ピラミッドも頭でっかちの形状になっており、生産性向上の持続性が難関となっていること。日銀がこれまでの株価買い支えの結果、日本企業の筆頭株主になる事例も多く、「もの言わぬ株主」として君臨していること。海外勢からは、日銀ETF買いで、日経平均は4千円程度かさ上げされているとの試算も聞かれる。外部環境では、中国経済の不動産バブル破綻に発する株価低迷に、中国当局がなりふり構わぬ対応を繰り出していること。そもそも中国経済が危機化すれば、日本株へのマネー逃避どころか、日中経済共倒れリスクさえ懸念される。トランプ氏が対中強硬姿勢をちらつかせていることも不安材料だ。


いっぽう、米国経済は、金融政策の引き締めから緩和への歴史的転換が進行中だが、足元でも、1月CPIの上振れサプライズで経済軟着陸シナリオに黄信号が点滅している。米国株が軟調に転じ日本株上昇の足を引っ張る可能性も否定できない。


かくして、リスクを並べると、枚挙にいとまがない。しかし、相場は理屈より力学で動く面もあり、少なくとも2-3月にかけては、上昇モメンタムが持続しそうだ。


これまでは、海外勢が日本株を買うと、日本人投資家がベア型投資商品を使い、売りで対抗する展開が一般化してきた。今回も、せっかく新NISAが導入されたが、オルカン(オール・カントリー)や米国株など海外ものにNISAマネーが集中している。日本株急騰が日本人投資家に評価され、このまでの「市場の常識」を打破すれば、日本人・外国人共闘買いが期待できよう。


海外勢主導の日本株買いが継続的な相場展開となるためには、日本人投資家の意識変革も欠かせない。