年が明け、昨日本欄で書いた如く、市場の潮目が変わった。
外為市場でも、144円台まで、円安が再燃した。
その理由が、能登地震の経済的悪影響を懸念して、日銀がマイナス金利解除を遅らせる可能性が出てきたから。
マイナス金利解除を織り込んで円高に振れていたので、思わぬ「災害」が円相場にも影響を与えたのだ。
誰一人として、昨年末までは、想像だにしなかった展開だ。
昨日、ドル建て金価格も円安も同時に進行して円建て金価格が新高値を連日更新するような状況は、今年は期待できないと書いたが、筆者も、全く想定しない展開であった。
本当に、相場は天変地異でも大きく変動するから分からないものだね~。


なお、昨日、日経電子版筆者コラムに書いた原稿を採録する。


ヘッジファンドが日本株を見る眼 「災害は買い」


筆者の友人で、カリスマ投資家として知られるジム・ロジャーズ氏は、東北大震災のときに、日本株を買いまくったと語っている。
Buy disaster  (災害は買い)
同氏が好んで使う表現だが、新年のNY市場でも、米大手新聞社が相次いで、写真つきで、能登地震と日航機炎上を報じるなかで、「ここで日本株が下がれば買い」との声が聞かれた。
そもそも、米国株の割高感が意識されるなかで、NY市場の投資家の目は、海外に向いている。
注目されているのは新興国株(除く中国株)。
そして、アジアの先進国株という「別枠」で日本株にも目が向いている。
政治献金問題なども、トランプリスクに慣れている国の投資家に間では「結局、日本は与党が変わらず、相対的に政治的安定性がある」と語られる。
株式市場改革や株主重視の傾向も、まだ評価は定まらないが、その方向性は歓迎されている。
とはいえ、ウォール街全体からみれば、まだまだ、日本株の存在感は薄い。
とにかく、エキゾチックな国ていどの意識で、日本に関する知見も、がっかりするほど低い。
それゆえ、buy disasterでも、とにかく、注目されれば、チャンスである。

 

ジム・ロジャーズ氏が、アラバマ州からウォール街に「上京」して初めて就職した会社があったという「思い出のビル」にて
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ジム・ロジャーズ氏が、アラバマ州からウォール街に「上京」して初めて就職した会社があったという「思い出のビル」にて