NY金が、一気に2,040ドル超に急騰した。
レンジを上に抜け、次のターゲットとしては、2,089ドルの史上最高値が視野に入る水準だ。

 

kitco

キッカケは、ウォラーFRB理事の発言であった。
「最近のインフレ減速は歓迎すべき現象だ。
金融政策の効果と考えられる。
このまま続けば、政策金利を下げることも考慮されよう」
同氏はタカ派の主導格ゆえ、このハト派的発言はサプライズとなった。
しかも、FRB高官として、「利下げ」に具体的に言及した。
パウエル議長は、「利下げなど考えたこともない」と、これまで断言してきた経緯がある。
ときあたかも、NY市場では、来年の5月にも利下げに政策転換するのではないか、との観測が主流となっている。
特に、最近のCPIがインフレ減速を印象づけてから、この利下げ議論が、ウォール街では、最もホットな話題となっている。
それゆえ、このウォラー発言で、来年5月利下げ確率が、30%台から60%台に跳ねたことからも、影響の大きさが分かる。
米債券市場の金利は急落、ドル指数も急落した。そして、金にも強い追い風となったのだ。
なお、ウォラー発言のあとで、バウマンFRB理事が講演して、こちらは、必要なら追加利上げも辞さずと語っている。
従来の発言を踏襲する理事と、ウォラー理事の対比が鮮明だ。
FRB内部の意見が割れており、まとめ役のパウエル議長も苦労しているようだ。


NY金は、新たな局面に入り、これから重要な経済指標として、次の雇用統計そしてCPIが注目される。
その数字次第で、年内、史上最高値突破の可能性も出てきた。
なお、円相場は、この発言で、円高に振れた。
といっても、147円台だが。(147円を円高と言うのには抵抗感があるね笑)。
円建て金価格については、これまでのような、NY金が上がり、為替要因でも上がるというような、都合の良い話は、そうそう続くものではない。
それでも、円建て金価格が歴史的高値圏に留まることは間違いない。


なお、現在発売中の日経マネーについている金別冊は、筆者が監修したので、参考にして欲しい。
 

 

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