NY金市場の潮目が変わった。
震源地は米債券市場。これまでドル金利高を見込み、米国債を空売りしていた投機筋が、感謝祭・クリスマスの休日を控え、買戻し(巻き戻し)に動いた。
10年債利回りは一時5%を超えていたが、今や、4.3~4.4%のレンジまで急落している。
金利を生まない金の価格は、この債券市場の波乱と並行して、上昇。
ちなみに、円相場も、ドル売り・円買いに動いた。
いっぽう、FRBはインフレ再燃を恐れ、追加利上げの可能性を捨てていない。
昨晩発表の11月FOMC議事録でも、追加利上げを全員が否定しなかった。
但し、この11月FOMCは、先週のCPIショックの前の話だ。
10月CPIがインフレ減速を示したことで、潮目は変わった。
おそらくFRBは、このCPI改善だけでは、ノイズ(雑音)と切り捨てるだろう。
あくまでpatient(辛抱強く)、経済データを確認してゆく姿勢だ。
すでに、今週、バーキン・リッチモンド連銀総裁は「追加利上げも考慮」を述べている。
しかし、市場は先走りして、追加利上げの可能性を「ゼロ」と見ている。
更に、来年5月に引き締めから緩和に転換する可能性を60%以上と見ている。
FRBと市場の見解の差が鮮明だ。
パウエル議長は、政策転換など、論外のような口調で語ってきた。
金市場もFRBを信じておらず、2,000ドルまで突っ走った。
特に、これまで金空売りに走っていた投機筋は、買戻しに動いている。
ドル円は147円まで円高に振れたが、議事録で148円に戻した。
こちらは、円安の潮目の変化とはいえない。
円空売り或いは円キャリーに走っていた投機筋が、買戻しに動いているということだ。
金価格に関しては、結論は、中東リスクが下支えとなり、ドル金利低下を映し、更に、利上げの副作用としての米経済景気後退を織り込み、着々と価格レンジを切り上げてゆくだろう。