今日は株式市場の話。
日本では、棋士藤井が、AIと対戦しつつ腕を磨いているとのことだが、米国では、AI株の代表格であるエヌビディアの時価総額が1兆ドルを超えた。
同社は半導体メーカーだが、ゲーム機用半導体製造ラインをいち早く生成型AI(チャットGPTなど)に振り向け、需要を取り込んだ。
いまや、ウォール街の会話で最大のトピックは、「エヌビディア株はまだ上がるのか。利益確定の時期か」。
米国人個人投資家たちは、概ね買いそびれているので「下がったら買いか」との質問が目立つ。
罫線を重視するテクニカル系の人たちは、パラボリック(放射線状)を描くエヌビディア株価について、典型的な窓が開いており、早晩、窓埋めの調整に動くと指摘する。
対して、今回のAI株ブームは、数十年に一度のゲームチェンジャーであり、まだまだ始まったばかり、との見解も根強い。
そこで、比較の対象になるのが、ドットコム・バブルとの比較だ。
この旬の話題について、1日にシーゲル・ウォートン・ビジネス・スクール教授が「まだAIバブルの域ではない。ドットコム・バブルに比し、実体のある収益に裏付けられている。
AI銘柄についた火は、夏の終わりまで続くであろう。バブルなら、企業の基礎的価値(fundamental value)の4~5倍の株価になるが、そこまでは上がっていない。
AIの時代とでもいえようか。」と経済テレビ生出演で語り注目された。
同氏は、ウォートン・ビジネス・スクールの教授で、株式相場についてもメディアで積極的に発言するので、人気も影響力も強いカリスマだ。
筆者もウォートンで近代ポートフォリオ理論を学んだので、親近感がある。
但し、強気派のシーガル教授も、さすがに「短期的には、やや買われ過ぎの感もある。」と語り、調整局面の可能性にも言及した。
ときあたかも、NY株式市場の地合いは不安定だ。
31日にジェファーソンFRB理事の「FRBの金利据え置きは、引き締め終了を意味せず」との発言が波紋を広げているからだ。
6月利上げは見送るが、データ次第で、7月あるいは9月に利上げ再開する可能性もある、と市場では解釈された。
この発言は、バイデン大統領によりFRB副議長に指名されたジェファーソン現理事が、FRBとしての見解を述べたのか。
市場では、意見が割れており、FRBの真意を測りかねている。
AI銘柄も、とりあえず、短期的には利益確定で売られやすい市場環境なのだ。
しかし、中期的には、ドットコム・バブルの「西部開拓史」の如き世界とは異なるとの見解も根強い。
AI開発には巨大な量のデータが必要で、規模が大きいので、誰でも出来ることではないからだ。
商業化も遥かに速く進行している。AIは労働生産性の向上によるコスト節約をもたらす。
とはいえ、エヌビディア株の時価総額が兆ドルの規模に達すると、既存のバリュエーション判断基準を超えた異次元の世界なので、投資家サイドでも素直には受け入れ難い。
バブルか否かの議論は、短期間で結論が出る命題ではなく、まだ当面続くことは必至の情勢だ。
さて、今日の写真は近くの神社で見かけた菖蒲。
梅雨にふさわしい花だね。
相場モニターばかり見ている目が癒されるよ。