6月1日のNY金市場では、経済指標の悪化を受け、利上げ確率も急低下して、債券市場ではドル金利安、外為市場ではドル安に振れ、ドル建て金価格は上昇した。
 

スポットで1,980ドル台に乗せ、2,000ドル回復も視野に入る(KITCOグラフ、緑線)。

 

kitco

金価格を押し上げた経済指標は、まず、ISM製造業景況感指数。
これが46.9と7か月連続で、好不況の節目とされる50を下回った。
内訳も、新規受注や販売価格が下落した。
これは、インフレ抑制の観点からは、歓迎される数値で、FRB利上げ確率を引き下げる要因にもなるので、金には追い風になる。


更に、毎週発表される新規失業保険申請件数も、23万2,000件で、これは多い部類に入る。
解雇が増えていることを示すので、安全資産としての金は買われやすい。


総じて、金は不況感を示唆するような経済統計に反応している。
とはいえ、1日の動きは、2日の雇用統計発表に比し、前座の扱いだ。
本番を前に、金空売りに走っていた投機筋が、買い戻しでポジション調整に動いた面も否定できない。
その本番の雇用統計は、6月FOMCを13~14日に控え、極めて重要だ。
良い数字が並べば、引き締め利上げが未だ足りないという理由で、利上げ継続の可能性が強まる。
但し、6月は利上げを1回休み、7月か9月のFOMCで利上げ再開という、変化球のパターンが想定されている。
このケースだと、金は売られる。
但し、発表直後の初期反応は曲者で、所謂「騙し」が多い。
本当の市場反応は、週明け月曜日まで見守る必要がある。
(雇用統計で悪い数字が並べば、金は2,000ドル接近となろう)。


なお、雇用統計の結果を受けて、久しぶりにYouTube豊島逸夫チャンネルで話すよ。
2日夜か3日朝。
ツイッター@jefftoshimaで、告知する。