北京で病院4時間待ちなどの報道が流れ、中国で新たなコロナ再発の波が発生している。
つい2週間ほど前までは、コロナからの再開期待に沸いていた中国経済の見通しも、急速に悪化してきた。
中国株価も下落。人民元も下落。
このような状況になると、世界最大の中国金需要も揺れる。
今年はこれまで好調であったが、ここ数週間で俄かに暗雲に覆われてきた。
まず、宝飾用需要は、個人消費が萎えるので、減少するであろう。
対して、投資用需要は、経済先行き不透明ということで、増加するであろう。
特に、不動産市場が中国経済のアキレス腱になっており、これまで、バブル破綻を繰り返してきた。
とはいえ、不動産は中国人にとって重要な資産でもあった。
その結果、資産として価値が揺れる不動産から金へのシフトも見逃せない。
ちなみに、中国の民間金投資需要は、金の延べ板も多いが、ダサいデザインながら金はタップリ使われているタイプの「金宝飾品」も買われる。
これは、investment jewelleryと呼ばれている。
中国に特徴的なカテゴリーと言えよう。
なお、中国人が資産として人民元を信用せず、金を選好する理由として、第二次大戦後勃発したハイパーインフレが挙げられる。
添付の写真は、1949年に発行された額面60億元という途方もない額の紙幣だ。
下の丸窓には、一握りの米。60億元で、これしか米が買えなかった。
これは、上海の銀行博物館の入り口に展示されていた。
ちなみにドイツも1919年のハイパーインフレの記憶は未だに生々しく、欧州諸国のなかでは、文化的金選好度が強い。