国際金価格はニューヨーク市場尾で1,960ドル台から1,980ドル台まで反騰した。
パウエル議長発言や、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のWSJインタビュー発言でがキッカケだ。
金市場の下げは、米利上げ継続説台頭がキッカケであったが、利上げするにしても、6月ではなく7月以降という「利上げ一回休み」説が台頭したからだ。
少なくとも6月利上げの確率は下がったが、今後の様子を見て7月以降に利上げに動くかもしれない、という意味である。
利上げ継続よりは、一回休みのほうが、金市場にとっては、まだマシというわけだ。
更に、市場で楽観視され始めた米債務上限問題にも冷や水が浴びせられ、これは、金価格には上昇要因となった。
財政不安に関しては、市場はワシントンでの大統領と議会の交渉を見つつ一喜一憂だが、そもそもの構造財政赤字体質は変わらないので、金価格には中長期的下支え要因となっていることが重要だ。
いっぽう、外為市場では、138円から137円へ、やや円高に振れている。
債務上限悲観論と利上げ「一回休み」説に反応している。
以下、中級者向けに、米利上げ観測迷走について詳述する。
5月FOMCにて「最後の利上げ」が示唆されたことで、6月は利上げ見送り説が有力となった。
しかし、その後の相次ぐFRB高官発言で、利上げ継続説が無視できなくなった。
更に、先週金曜日から週末にかけ、利上げ「一回休み」(skip)説が台頭している。
FED WATCHによれば、6月利上げ確率が1週間前は10%、17日には28%、18日には36%と徐々に上がっていたが、その後、直近では18%まで下落している。
そのかわり、7月利上げ確率が、19%に上がっている。
なお、7月「利下げ」確率が、1週間前には3割近くあったが、今やゼロになったことも注目される。
この利上げ観測迷走の理由を辿ると、4月雇用統計に遡る。
同統計では、極めて強い雇用関連指標が並び、5月FOMCで強く示唆された6月利上げ見送り論に冷や水を浴びせる結果となった。
更に、たたみかけるように、FRB高官のタカ派的発言が相次いだ。
5月15日には、ボスティック・アトランタ連銀総裁が、年内利下げを否定したうえで、次の一手は、どちらかといえば「up」と利上げを示唆した。
更に同日にはカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が、労働市場はホットで、まだ、やらねばならないことがある、と、これも利上げを匂わせた。
グールズビー・シカゴ連銀総裁は、ハト派だが、5月FOMCでの利上げ決定は、「際どい判定」であったと明かし、内部の亀裂を示唆した。
更に、18日には、ローガン・ダラス連銀総裁が、これまでの経済データでは、6月利上げ見送りは正当化できない、と言い切った。
ブラード・セントルイス連銀総裁も、FTとのインタビューで、次回のFOMCでは、「ダメ押し的な」利上げに動くと明言した。
その後、19日には、パウエル議長が、バーナンキ元FRB議長との壇上対談で、「追加の引き締めが適切か何の決定も下していない」と語った。
この週末には、ウオール・ストリート・ジャーナル紙のFEDウオッチャーとして著名なニック・ティミラオス記者がインタビューでカシュカリ氏が、「利上げ終了との宣告には反対する。
FOMCが(利上げを)スキップするというのなら、それもよかろう。終了と一回休みでは、かなり違う。」との発言を紹介した。
以上が、これまでの利上げ観測迷走の背景である。
これほどに、FRB参加者の見解が揺れているのは、そもそもCPIコアが4.9%と目標の2%からは、程遠いこと。
更に、金融政策にタイムラグがあるとはいえ、想定以上に、米国経済は底堅いからだ。
個人消費も、まだら模様とはいえ、総じて、打たれ強い。
18日発表の新規失業保険申請件数は先行指標として重視されたが、24万2,000件と3週ぶりに減少して、労働市場で解雇は増えず、依然堅固であることを示した。
但し、地銀危機による与信環境の悪化が、利上げ1回分程度の引き締め効果を持つ、との見方も根強い。
そのうえに、6月利上げとなると、引き締め過ぎのリスクが懸念される。
しかし、FRBは、金融不安には、別途、緊急流動性供給で対応するとの姿勢だ。
結局、FRB側は、利上げ継続の可能性が膨らみ、市場側は、利下げの可能性が萎んだ。
FRBのと市場の間の予測の相違は0.5%から1%のレンジで大きく乖離している。
最終的に、どちらかに収れんするとき、為替市場では、大きな変動が起きる可能性があると、マーケットは身構えている。
これまで、6月利上げ観測台頭の過程では138円台まで円安が進行した。
いっぽう、今後、新たな地銀不安が発覚したり、債務上限交渉が泥沼に陥れば、円高圧力がかかる。
この週末のNY市場でも、138円台半ばから、いきなり137円台半ばまで円高に振れる局面があった。
それゆえ、昨年は円売り攻撃で151円まで暴れた国際通貨投機筋も、今年は、円安を深追いする気はない。
そもそも今年は利上げ最終段階ゆえ、ドル売りのポジションに傾いていた。ところが逆を突かれ、ドルの買い戻しを強いられている。
筆者は、FRBと市場の利上げ予測が収れんする時期を、8月下旬恒例のジャクソンホール中央銀行会議と見ている。
さて、今朝は、朝5時から大谷先発のエンゼルズ試合と、ゴルフ全米プロ選手権での松山秀樹選手大苦戦をテレビ中継で見ていたよ。
両選手ともに、ちょっとお疲れさん気味だね。
まだ今シーズンは先が長いから、入れ込み過ぎないほうが賢明だよ。
松山プロは首痛抱えているし、大谷選手は、WBCから、フル回転が続いているので、一時より明らかにパワーがダウンしている。
そういえば渋野選手も、左手首にテーピングして痛々しい。
残念だが、彼女は長期休養すべき。
自分も、スキーやゴルフで経験あるが、スポーツは怪我が一番怖い。
ゴルフなどで手首痛めたら、休むしか療養法はないよ。