新規雇用が50万人を超え、失業率は3.4%の過去最低水準を記録して、ウォール街のほぼ全員が唖然とした1月雇用統計の記憶が鮮明に残る状況で、3月10日に2月雇用統計が発表される。
3月相場入りしたNY市場も、とにかく雇用統計を消化しなくては、まともなポジションをとること能わずという実態だ。
しかも、2月に発表された、CPI、PPI、PCEの主要インフレ指標は、全て、「上昇」あるいは「下落速度が鈍化」を示した。
そこで、2月雇用統計に、例えば、新規雇用は30万人超、失業率は3.5%などの強い数字が並べば、ターミナルレート予測6%水準が真剣に議論される可能性がある。
市場では既に28日にバンク・オブ・アメリカ(BofA)は6%予測を公表した。
根強い個人消費とタイトな労働市場により想定より底堅い米国経済が要因として挙げられている。
副作用としての厳しい景気後退も覚悟のシナリオだ。
引き締めリスクより引き締め不足のリスクを重視するFRBの政策スタンスも効いている。
振り返れば、年初には楽観的な経済軟着陸説が語られ、その後、無着陸説(インフレ長期化と打たれ強い経済の同時進行)に代わり、そして今や、激突(ハードランディング)説が再び台頭してきた。
なお、市場で6%説を唱えるのはBOFAだけではない。
中国経済再開と欧州経済好調見通しも米インフレ要因として無視できない状況だ。
いっぽう、FRB高官のターミナルレート予測は昨年12月時点のドットチャートでは5%~5.25%予測にほぼ収れんしていたが、その後、5.50%~5.75%まで切り上がってきたようだ。
これは、3月以降のFOMCで計0.75%の追加利上げが行われることを示唆している。
3月0.5%、5月0.25%か、3月・5月・6月に、それぞれ0.25%か。9日にはボスティック・アトランタ連銀総裁が、3月利上げは0.25%に抑えるべしとの慎重論を説き、NY株式市場では、「ハト派的発言」として歓迎された。
いずれにせよ、3月発表の雇用統計とCPIを見ないことには、事前予測さえ出しかねる状況だ。
この1月雇用統計サプライズに発する利上げ上方修正論争は、アカデミックの世界にも波及。
利上げ慎重派(ハト派)の代表格とされるノーベル経済学者スティグリッツ教授が、「今回ばかりは、ラリーの意見に賛成せねばならない」と語り話題になっている。
ラリーとはタカ派代表格のラリー・サマーズ元財務長官のこと。
筋金入りのタカ派で、常にスティグリッツ氏と比較されてきた。
雇用統計サプライズは、ノーベル経済学者まで翻弄したのだ。
このように混とんとした市場環境ゆえ、NY市場で3月10日までは、模様眺めが圧倒的多数を占めるのだ。
短期投機的売買が日々のボラティリティを高める構図である。
筆者は、この利上げ論争が、年前半は続き、市場を覆う視界不良感は消えないと見ている。
パウエル議長が最も重視するスーパー・コアといわれる徹底したサービス業重視のインフレ指標は、下方硬直性が強いからだ。
多くのファンドは、当面、年率4~5%の短期米国債購入などで、とりあえず、つなぐ運用を強いられよう。
日本人にとって気になる円安も、昨年とは異なり、国際通貨投機筋が円売り持ちには慎重だ。
雇用統計で一夜にして市場の景色が変わるリスクがあるからだ。
「植田日銀が読めない」「深追いはしない」。
投機筋のつぶやきに、昨年のような円売りモメンタム(勢い)は感じられない。
国際金価格も例外ではない。
3月10日に要注意だ。
さて、今日の写真は、渋谷駅地下の「十勝あんこのサザエ」店頭。
ズラッと女性の列に男一人並ぶ(笑)
大判焼き、オハギ、草餅、桜餅を買った。
ここの、実演販売のタイ焼きは、凝り過ぎていて、私の好みではない。
札幌駅前エスタの、オリジナルの普通の鯛焼きこそ、「サザエ」の原点だ。
そこでは、シンプルな鯛焼きのみ。