まず、今回のFOMC総括。
今回のFOMC後記者会見で市場が最も聞きたかったことは、年内利下げについてのFRB議長からの所見であった。
FRB側の見解としては、12月FOMC議事要旨に「23年中の利下げ転換を予想する参加者は一人もいなかった」と強い表現で明記されていた。
しかし、今回の記者会見では、それほど強く否定されてはいない。
市場とFRBの認識ギャップをストレートに突いた質問に、こう答えている。


以下引用

我々(FRB)は、経済成長は減速、労働市場にはいくらかの緩み、インフレは徐々にしっかりと減速と見ている。
このケースでは利下げは適切ではない。
とはいえ、色々な意見があり、インフレ率が急速に下がるケースとなれば、これに対応する政策を検討することになろう(incorporated into our thinking about policy)


以上引用


これまでも引き締め過ぎるリスクは覚悟のうえで、そうなれば金融政策で対応できる、とパウエル氏は語ってきた。
利上げ不況になれば、利下げという政策対応もやむなしとなろう。
そもそも、インフレの展開が予想しにくいことも、質問に応じるかたちで、語っている。財のインフレは2021年末までに終息と見ていた。
しかし22年になっても続き、やっと下がり始めると、今度はペースが速い。
コロナによる新型インフレとはいえ、実に予測しがたい、と述べていた。


総じて、今回の記者会見を聞くと、インフレ率が「意味ある下落」と判断されるのは、早くとも5月のFOMCになりそうだ。
3月から5月にかけて政策点検が必要となることも示唆している。
金融政策のタイムラグは12か月から18か月とも言われるからだ。
市場では、3月で利上げ打ち止め論が主流だが、政策変更は年央にずれこむと見て、年前半の数か月で短期の一勝負かけ、5月のFOMCを見て、年後半に新たなポジションを立てるとするファンドも少なくない。
FRBには逆らえぬと言ってみたり、FRBは疑えと言ってみたり、市場の思惑もばらついている。


NY金に関しては、いよいよ利上げ最終局面入りということで、金利を生まない金には良いニュースとなっている。
22年には利上げの呪縛によりNY金は下落傾向であった。
しかし、利上げの出口が見えたことで、ドル金利の下げが加速している。
ドル安も加速して、いよいよ2,000ドルを窺う局面だ。

 

kitco