首題の記事が今日の日経朝刊3面に載った。
捕捉的に歴史的な視点で見てみよう。
そもそも金本位制であったが、ニクソンショックを機に信用通貨制度に移行。
ドル紙幣は金の裏付けがない、ただの紙っきれになった。
それでも米国経済を信用して人々はドル紙幣を使った。
しかし、リーマンショックで米国経済の脆弱性が露わになるや、世界は米国経済に懐疑的になる。
金本位制から、振り子が信用通貨制度に振り切れたところで、リーマンショックが起こったのだ。
かといって、金本位制は過去の遺物。金には成長する世界経済をまかなう流動性が決定的に不足している。
そこで、振り子が金本位制の方向に戻り始めたところで、中央銀行は外貨準備としての金準備増強に動いた。
その結果、金需給統計で、「公的部門」が長く金の売り方(供給サイド)にあったのが、金の買い方(需要サイド)に移ったのだ。
1990年代は、「有事はドル、有事の金は古い」といわれ、欧州の主要中銀が相次いで公的金保有の大量売却に動いたのだが、リーマンショックを境に、中銀が買い方になったことも忘れてはならない。
結局、金の通貨としての地位は、時代により変遷してきたが、ラストリゾートとして、金は究極の価値を持つのだ。
なお、55年前になにがあったのか。
世界の国や投資家が、ポンドやドルに疑念をいだき、金に殺到。
ゴールドラッシュが発生した。
金の公的準備が底を突き、71年のニクソン・ショックの導火線になったのだ。
歴史は繰り返す。
金は用無しとされた時代があるかと思えば、やはり金と見直される時代もあった。
しかし、数千年の歴史のなかでは、金こそ価値の基準との位置づけは変わらない。