今日は、説教をひとつ(笑)


国内金価格、過去最高値更新との報道が流れ、銀行、証券、保険などの機関投資家たちから、金価格動向について、聞かれる。
3か月ごとの決算でリターン(儲け)という数字を出さねばならない人たち。
従って、来週のFOMCを視野に短期的金価格動向を知りたがる。
今晩発表されるPCEインフレ率。
更に、来週早々に発表になる雇用コスト指数。
パウエルFRB議長が重視する、この二つの統計により、「インフレ頭打ち」が確認されれば、FOMCでの利上げも今回の0.25%(予測値)と、あともう一回0.25%の利上げ(3月FOMC)で、打ち止めとなろう。
NY金は、そこまで織り込み、先走り気味に1,900ドル台を突破した。
円相場も120円台まで円高ドル安が進行した。
そこで市場の眼は、5%前後になる米政策金利をFRBが年内は維持するか。
或いは、利上げ不況対策として、早々と利下げに転じるのか。
この一点に興味が集中している。
市場側は、政策金利が5%には達せず、頭打ちの後に年内利下げと読む。
利上げが天敵の金市場では、NY金2,000ドル突破のシナリオとなる。
対して、FOMCでは、5%超への利上げを強行して、更に、その高水準を場合によっては来年まで維持する、との見解が強い。
この場合は、NY金が一転、反転するシナリオとなる。
3月で利上げを一旦打ち止めにしても、その後の経過観察で、インフレが再燃するケースも想定される。
その場合は、打ち止めされた利上げが、年後半に再開されよう。
NY金は2,000ドル突破後、大台は維持できず、弱含みとなる。
どちらに転ぶかは、FOMCでの議論、そして、経済データの出方次第。
それゆえ、来週のFOMCは、極めて重要なのだ。
後日公表されるFOMC議事要旨も注目されよう。
とまぁ、機関投資家たちには語っているが、個人投資家には、FOMCに一喜一憂せず、じっくり積立方式で買い増してゆくことを強く勧めている。
個人の強みは決算に縛られず、じっくり構えて、長期保有を実行できること。
筆者も、ディーラー時代には、決算日までに結果を出す必要がない個人投資家が羨ましかった。
個人でもプロに勝てるのだ。
ところが、個人投資家は、この「武器」の有難みを知らない人も多い。


ということで今日の説教はおしまい(笑)


なお、過去最高値で貴金属店の店頭では現物金の売り戻しが目立つ。
グラム1,000円とか2,000円とか、今となっては夢のような価格で買ったひとたちが実際には多いので、これは当然の流れだと思う。
保有している金の一部を売って、リベンジ消費や旅行に充てることは、自分へのご褒美とも言える。
但し、それなりに税金も増えるので、覚悟めされい。
金ETF保有者は、歴史がまだ浅いが、それでも安値で仕込んだ人、或いは、株売買の感覚でモメンタムに乗り新規買いを入れる人もいる。
更に、保有している金を売っても、それで、次はどこに投資するというのか。
株も債券も外為も、視界不良だ。
マクロの視点にたてば、急いで売ることもなかろう。
いずれ金の国際価格は3,000ドルを目指す。
結局、売るべきか否かは、当人のライフスタイルやライフステージにより、事情が大きく異なるので一般論では語れないものだ。
更に、自分の欲望との戦いともいえるので、損切りより利益確定の売りのほうが難しいと言われるのだよ。
贅沢な悩みではある。