本日13日には米CPI発表。14日にはFOMC終了。
来週のNY市場は実質クリスマス休暇入りゆえ、今週に今年の大荒れ相場もフィナーレを迎える。
金も株も円も。
NY市場の声としては、FOMCよりCPIのほうがサプライズ性を秘めるとの見解もある。
パウエルFRB議長は、ジャクソンホールでの金融政策強化発言以来、ほぼ一貫してタカ派的トーンで多くを語ってきたので、市場もかなり読み込み、且つ、織り込んでいる。
対して、CPIは遅行指標だが実際に発表されてみないと実際の数値は分からない。
基本的に年率8%台から7%台へ水準を切り下げてきたが、9日に発表されたPPI(卸売物価指数)は前年同期比で7.4%と事前予測を上回る数値が出た。
PPIは前座扱いだが、川上では未だインフレ圧力が強いことを映す。
果たして、本番のCPIも、反発するのだろうか。0.75%刻みの利上げを4回連続して実行しても、インフレ抑制効果が確認できないとなると、ブラード・セントルイス連銀総裁の言う「タカ派的シナリオ」となり、ターミナル・レートが6%台接近も絵空事とは言えなくなる。
金融政策には半年から1年のタイムラグがあるので、6月の0.75%利上げの効果でさえ、点検はこれからだ。
とはいえ、消費者のインフレ期待は低下している。


12日にニューヨーク連銀が発表した消費者調査では、1年先の予想物価上昇率が5.2%と前月から0.7ポイント下がった。
9日に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数でも、1年先のインフレ期待が4.6%と前月から0.3ポイント低下している。
特にニューヨーク連銀の消費者調査は、パウエル議長も注視していると明言しているので重要だ。
このような市場環境ゆえCPI発表のサプライズ性が注目されるのだ。
CPIは住宅関連の数値のシェアが大きいことが特徴だ。
特に家賃が下がりにくい傾向がある。
足元では、マイホーム建設資材コストや住宅ローン金利が急騰したことで、もはや住宅価格が一般市民の手が届く水準を超え、賃借り住宅での生活を余儀なくされている傾向も顕著である。
市場の地合いとしては、既にクリスマス前のポジション調整は終わっており、今の時期にCPIに強く反応するとすれば、超短期のアルゴ系ファンドなどに限定される。
16日金曜日がNY市場の年内最後のSQとなるので、オプション決済がらみで、相場変動が増幅される可能性もある。
対して、一般の機関投資家が、CPIに一喜一憂して、この時期に積極的にポジションを大きく取ることは考えにくい。
それゆえ、個人投資家も、短期相場変動はじっくり見守る姿勢が賢明であろう。
今晩13日の午後10時20分くらいから、YouTube豊島逸夫チャンネルでCPIライブ配信する。


さて、米国主導で、日欧も参加する月面探査「アルテミス計画」の第一弾として打ち上げた宇宙船が11日、月を周回して地球に帰還した。
この報道で、NYのメディアは、月で採掘する可能性のある金属として、「プラチナ」を挙げていた。
ふーむ、月でプラチナ鉱石が発見されても、それを地球に持ち帰らねば、純プラチナ・インゴットにはならない。
月面にプラチナ精製設備を作るのも、現実的な話ではない。
まぁ、SF小説を読む気分で受け止めておこう。


それから、ゴールドマン・サックスが、仮想通貨より金、という内容のレポートを出した。
英語の原文は以下のとおり↓


https://www.reuters.com/business/finance/gold-is-better-portfolio-diversifier-than-bitcoin-goldman-sachs-2022-12-12/ 


特に新しい議論ではない。


FTX創業者の、サム・バンクマン・フリード氏を、バハマ当局が逮捕した。
容疑は仮想通貨の相場操縦。
米当局の要請にもとづくもので、身柄は米国側に移送される見通しだ。
脱税天国のカリブ海諸国も、遂に規制に動きだしたようだ。