14日金曜日の欧米市場で円相場が148円を突破したキッカケは英国債利回り急騰が米国債券市場に伝播したこと。
その後、ミシガン大学消費者態度指数のインフレ予想観が上昇していることで、本格的148円台突入となった。
そもそもは、トラス政権が、前政権の掲げた法人税19%から25%への引き上げを凍結の方針だったが、財政不安が極度に達し、結局、法人税増税へ転換した。
しかし、度重なるUターン(政策転換)に、市場は不信感を強め、英国債が再び売られたわけだ。
しかも、財務相が、今年に入り4人入れ替わるというバタバタ劇を見せつけられた。
クワーテング財務相に至っては、在任38日で解任。
しかも、ワシントンで開かれていたIMF年次総会出席中に、突如退席して帰国という不名誉な展開になった。
市場内のトラス首相への不安感は容易に払拭できない。
更に、イングランド銀行は、インフレ対応の利上げと同時に、市場安定のため、投げ売り同然の英国債を買い入れるという量的緩和再開を強いられた。
業を煮やした同銀行ベイリー総裁からは、11日に、「あと3日でリバランスせよ」と危機に直面している英年金危機への最後通告とも取れる発言があった。
量的緩和再開は時限措置であり14日金曜日がその期限であったからだ。
市場は、本日17日月曜にイングランド銀行が英国債買い入れを継続すると見ている。
未だ予定枠の3割程度しか購入していないからだ。
しかし、「あと3日」という発言は余計であった。
あたかも17日からの週には打ち切るとも解釈できるからだ。
それゆえ、イングランド銀行にまで不信感を募らせる。
同銀行としては、財政政策の失態を金融政策で尻ぬぐいすることになり、不本意極まりないことは理解できる。
このようなポリシーミックスのボタンの掛け違いが、ハイパーインフレを誘発する可能性を秘めることも歴史が語っている。
更に、このイギリス市場の大混乱は、ドル金利上昇を通じ、円安要因ともなる。
「あと3日」発言のときには円相場が146円台を突破。
クワーテング財務相解任の後に148円台突破。
いずれも、ドル高亢進が円安に飛び火したという、いわば「とばっちり円安」だ。
さて、本日17日に、イングランド銀行は、英国債買い入れを継続するか。
欧米市場は固唾を飲んで見守っている。
アジア時間から欧州時間に移行する日本時間午後遅くから今夕にかけて、取引の薄い時間帯は要注意だ。
前回の為替介入も、この時間帯で極めて神経質な値動きになった。
イングランド銀行が万が一、英国債買い入れ停止となれば、英国債は再び投げ売られ、利回り急騰が米国債市場にも連鎖して、ドル高・円安が更に進行するは必至だ。
それゆえ、買い入れ継続と思われるが、その場合は、安堵感からドルが売り戻され一時的円高局面に転じる場面も想定される。
或いは、「あと3日」発言が尾を引き、市場がイングランド銀行に不信感を募らせるシナリオも考えられる。
英民間大手銀行筋は、イングランド銀行から国債買い入れを継続すると耳打ちされたとのFT報道がロンドン市場には流れていることも、結果的に「二枚舌」の印象を与えかねない。
この一連の「英国リスク」は、為替介入当局も無視できまい。
日米金融政策の違いだけでなく、イングランド銀行の方針にまで目配りが必要になった。
二元連立方程式が三元連立方程式になったような状況で、市場の不透明感は増すばかりだ。
そして、国際金価格は、米10年債利回り4%突破と、ドル高加速で、1,670ドルから1,640ドルまで売られた。
引き続き、底値圏での乱高下と割り切って見るべき。
先週金曜日には、亀井・池水君と3人で恒例の日経マネー金対談。
2023年金展望。なかなか面白かったよ。
来月号掲載。乞うご期待!
チラ見として、今回は珍しく、私が強気で2,300ドル。
池水君が弱気で1,900ドル。
亀ちゃんは、モゴモゴ語ってた(笑)
それぞれ、相場観があるよ。
私は円建てで1万円超え予想。
そして、久しぶりに虎屋@東京ミッドタウン(六本木)で季節の生菓子。