いよいよ、FOMC。
明朝朝3時からに声明文、ドットチャート発表、記者会見と続く。
YouTube豊島逸夫チャンネルでライブ配信する。
金も含め大きな変動あれば、朝5時から。
金も含め総括は朝8時から。
↓で。


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さて、なんとも皮肉な展開である。
9月に入り、市中の流動性を回収してゆくQTが本格稼働を始めた。
過剰流動性相場の落とし子であった仮想通貨は2万ドルの大台を割り込んだ。
そして9月FOMC初日の20日に、「SPACの帝王」と呼ばれた著名投資家パリハピティヤ氏のSPAC(特別買収目的会社)2社の清算が発表された(SPACについて説明する暇はないから知らなければググって勉強)。
投資家はワラント購入によりSPACに投資するのだが、その2社の市場価格が今週に入り、それぞれ44セントから0.0006ドル、61セントから0.0014ドルに暴落。
20日の引け後、NY証券取引所は、この2社の上場廃止手続き開始を発表した。
「空箱投資」と言われたが、「空手形」になってしまった。
過剰流動性時代から流動性縮小時代への転換を象徴する出来事であった。
これもパウエル議長が警告する「引き締めの痛み」か。金融政策にはタイムラグがあるが、即効性もあることが印象づけられた。
この急性の痛みの後には慢性化しかねない痛みも覚悟せねばならない。
今回の利上げはおそらく0.75%となろうが、市場の注目は既に11月FOMCに移っている。
家賃、賃金などは、sticky(粘着力が強い)だ。


更に、これも9月FOMC直前に、供給サイドのインフレが、緩和傾向との楽観論を覆す企業決算が2社続いた。
まず、世界的サプライチェーンそのもののフェデックス社が、ガイダンスを出せなかった。
そしてフォードは部品調達困難との理由で約4万台の在庫を抱え、10億ドルのコストアップを発表した。
ここに、強力引き締めの副作用としての景気後退のダメージが加われば、企業収益は更に圧迫される。
かくして個人と企業を巻き込むインフレは政治問題化して、バイデン大統領も防戦一方だ。
18日の日曜名物番組「60ミニッツ」に生出演して、インフレについては「頭打ちで落ち着いている」と語った。
即、司会者が「8%で落ち着くのか」と突っ込むと「とにかく振れ幅は小さい」。
そもそも民主党議員1名の造反で2兆ドル規模の大型財政支出案が宙に浮いたので、大きく縮小。
ネーミングも突如「インフレ削減法案」に変えた。
かくして、騒然とした市場環境で、マーケットが想定する9月FOMCの結果は、0.75%利上げ、QTは月額950億ドルを粛々と継続。
問題は利上げの終着駅。
ターミナルレートは4%以上で時期は年末から来年早々。
その後、同水準に10か月ほど留まる。
緩和への転換は2024年。
これで、果たして8%を2%台で安定的に推移する状況まで持ち込めるのか。
市場には懐疑論が渦巻く。
パウエル議長が最も恐れるのは、国民の間にインフレ心理が常態化することだ。
このような人間の心を落ち着かせるには、とにかくインフレを根絶やしにせねばならない。
そのためには、4%どころか6%まで利上げせねば、人間の心理を変えることは出来ないとの見解もある。
このケースでは9月は1%、11月は0.75%となろうか。
対して、利上げによる景気後退を回避するためには、9月は0.25%に抑え、12月FOMCでは利上げを一回停止(pause)して、政策効果を点検すべき、との意見も市場内にある。
6月7月2回連続0.75%の荒療治の効果が未だ判定できないのに3回目の接種を強行するリスクを懸念しているのだ。
それゆえ、今回発表されるドットチャートに市場の注目は集まる。
とはいえ、このFOMC参加者の金利見通しは、ここまで外れまくってきた。
年初に誰が、0.75%とか4%などの数字を予見していたか。
しかも、パウエル議長は、フォワードガイダンス(金融政策の方向性の明示)を撤回するとも述べている。
市場とFRBの蜜月は8月のジャクソンホールで終わった。
かくして、視界不良のなか、ひとつだけ確かなことは、「歴史的にもも未曽有に状況ゆえ世界中で誰も正確には見通せない」ということだ。
年内にインフレ鎮静化の目途が立つとも思えず、現在の短期投機筋が市場を荒し、大手ファンドは現金保有で様子見の市場環境が変わるシナリオが見えない。