昨年、「インフレは一時的」と見誤る痛恨の判断ミスを犯した当時に副議長の職にいたクラリダ氏は、先週、テレビ出演で「謝罪」していた。
いっぽう、ウオラー現FRB理事は、謝罪はせず、「fool騙された」という単語を使い、悔しさを滲ませた。曰く
「思い起こせば一年前、数か月、インフレ率が落ち着く兆候を見せていたが、その後、急反発した。これで我々(FRB)の引き締めへのピボット(政策転換)は数か月遅れたと思われる。一時的インフレ緩和に「騙された」うえに、同じ過ちを繰り返せば、FRBの信頼性に傷がつく。」
パウエル議長も、「謝罪」はせず、淡々と「誤診」を認めている。
それゆえ、本日発表のCPIが、先月に続き、低下傾向を示しても、FRBが、それで引き締めの手を緩める様なことはあり得ないと断言できる。「数か月」インフレ低下傾向が続いて、初めて政策点検の対象となりそうだ。
対して、市場はインフレ・ピークアウトの有力な証しとして歓迎するであろう。米経済軟着陸シナリオが勢いを得そうだ。既に、株価は、このシナリオを織り込み、上昇中だ。ドル金利は下落しよう。日本の視点で気になる円安・ドル高傾向に歯止めがかかるキッカケになるであろう。特に通貨投機筋が既に膨張した円売りポジションを巻き戻し、対ドル円相場が140円台を割り込む可能性がある。
逆に、CPIが反発すれば、円相場が145円突破もあり得る。円は、まさに分水嶺にある。国内金価格は引き続き円相場次第。