先日の日経YouTubeセミナーでも質問に出ていたが、ロシアと金についての話題が市場では語られる機会が増えた。
要は、ロシア中央銀行は2,298トンの金準備を保有している。
経済制裁などで経済的に孤立した場合に備え、外貨準備として購入・保有してきたわけだ。
それが、今回は、ロシア中央銀行の売買まで制裁の対象にされたことで、「宝の持ち腐れ」になってしまった。
せっかく有事の為に貯えてきたのに、いざその日が来ても、使えないという状況はさすがのプーチンも想定外だったと思われる。
では、この2,298トンの金の活用法はないのか。
様々な憶測が乱れ飛ぶ。
ロシアが金本位制に復帰するという報道もあった。
しかし、これは極論で無理筋である。
トンデモ本著者には格好のネタになるかもしれないが、金本位制は過去の遺物。
経済の成長に見合う成長通貨を機動的に供給できない。
とはいえ、プーチンも経済的に追い込まれ必死である。
中国やインドなど親ロシア国に割安で相対取引にて販売する可能性はある。
しかし、その場合に、中国なら人民元決済を条件にされよう。
インドは米国との関係も考慮せねばならず、複雑な立場にある。
ロシアの金の輸入までは踏み切れまい。
すべて想像の域を超えないが、2,298トンの金の価値は変わらないので、今後の展開次第で、思いもよらぬ使い道があるかもしれない。
ちなみに、イランが経済制裁の抜け道としてペルシャ湾対岸のドバイから大量の金を搬入した事例はある。
日用品などの輸入の決済に金が使われたと見られている。
ロシアと金の話は、今後、新たな展開があるかもしれない。
ロシアにとっては虎の子の金保有なのだ。
仮に、2,298トンの金がアウトライトで売却されれば、国際金価格の下げ材料になろう。