先週金曜日に、FRBが最も重視する米個人消費支出(PCE)インフレ率が発表され、鈍化傾向が確認された。
同指標は2021年11月4.7%、12月4.9%、2022年1月5.2%、2月5.3%、3月5.2%と推移してきたが、4月は4.9%と発表された。
ちなみに、消費者物価上昇率も年率8.3%で8か月ぶりに鈍化している。
ニューヨーク連銀による「米消費者の1年先の期待インフレ率」も、家計のインフレ実感度として重視されているが、これも、中央値で0.3ポイント低下して6.3%となっている。
これら統計を背景に、FRB強力利上げがインフレを抑え込むのではないか、とのインフレ・ピークアウト説が流れる。
地区連銀総裁レベルでも、9月FOMCでは利上げ1回休みを唱える事例も出てきた。
筆者は、この程度のインフレ指標逓減で、インフレ・ピークアウトを語るのは時期尚早と考える。
絶対値が依然、高水準だからだ。
FRBが制御できない商品価格高騰(供給サイドのインフレ)も、CRBコモディティインデックスが318.66と9年8か月ぶりの高水準をつけている。
この指数は、中央銀行もウォッチする重要指標だ。
注目すべきは、需要サイドのインフレ抑え込みまでは良いのだが、抑え込みすぎて、景気後退を招くシナリオだ。
インフレを首尾よく抑え込み、しかも、不況は誘発せず、いわゆる「経済軟着陸」に成功すれば、インフレヘッジとしてもデフレヘッジとしても金の出番は減る。
対して、軟着陸できず、景気後退を招くとなれば、金は買われやすい。
すべては、パウエルFRB議長の金融政策手腕にかかる。
パウエルさんを信じられれば、金は売り。
信じられなければ金は買い。
だからこそ、本欄でも、パウエルさんが頻繁に登場するのだ。
なお、景気後退懸念でドル金利上昇に歯止めがかかり、足元ではドル安傾向になっている。
これは、金が買われやすい市場環境だ。
更に、ドル安円高に短期的ながら振れやすい。
しかし、円安の構造要因は変わらない。
黒田さんの国会での発言が東京の外為市場では材料視されて円高に振れる局面もあったが、ミスタークロダの威光が効くのは東京市場だけ。
NY市場ではスルーされている。
円は日本の通貨だが、日本株同様、外国人投資家の影響力が強く、円相場の大台突破も日本が寝静まった深夜に起こることが多い。
自分の国の通貨価値まで外国人に荒らされるのは、日本人として情けない。
さて今日の写真は米国から送られてきたサクランボ。
もう、そんな季節になったか、という感じ。
恒例の山形サクランボ狩りも、そろそろ予定を組まねば。