カンザスシティ連銀が主催して8月に避暑地ジャクソンホールで開催される中央銀行フォーラムには主要国の金融当局トップが集結する。
昨年はリモート形式開催であったが、今年は対面形式に戻るようだ。
過去にはジャクソンホール会議が重要な金融政策決定の根回しの場となった。
避暑地でネクタイ・スーツ姿からカジュアル・ウェアに着替えた中央銀行高官たちは、舞台裏で本音を語り合い、メディアも、インタビュー取材に走り回る。
今年のジャクソンホールが特に注目されるのは、FRB利上げプログラムのなかで、5,6,7月連続0.5%利上げを実行した場合、9月に「点検」が行われ、9月FOMCでの利上げの可能性が、0.5%か0.25%か、はたまた利上げ見送りか、様々な予測が金市場内でも乱れ飛んでいるからだ。
FOMC参加者であるFRB高官たちの意見も割れている。
パウエルFRB議長は「金融政策は切れ味が鈍い」と政策効果のタイムラグと測定の難しさを語ってきた。
かねてから根回しには時間を惜しまないとされる同氏が、FOMC内部の亀裂をまとめるためには8月開催のジャクソンホール会議は格好の場となりそうだ。
過去の事例でも、1998年、ロシア財務危機と大手ヘッジファンドLTCM破綻に市場が揺れたが、ジャクソンホール会議で当時のFRB議長グリーンスパン氏がFRB高官たちと気楽な姿と環境で本音を語り合い、意見調整を行った。
その結果、9月の利下げを実行したことは、未だに米国のFEDウォッチャーの間で語り草になっている。
そもそも利上げ幅が、0.25%、0.5%更に0.75%、あるいは利上げ見送りと政策選択肢が割れることは、過去に例を見ない。
しかも今年は後世の教科書に残る経済環境だ。
ウクライナとコロナの影響で新型インフレが勃発し、FRBは金融政策の超緩和から超引き締めへ短期間での急転換を強いられている。
その影響は主要国の中央銀行も直撃する。
舞台裏では激論が展開されそうだ。
NY市場でも今年の夏休みは家族とリベンジ旅行を予定するが、早々と切り上げ、ジャクソンホールに対応せねばならず、家庭内では不評だと嘆く市場関係者の呟きが印象的だ。