これは筆者も驚いた。
北欧もNATO加盟に動いたことで、プーチン大統領は、更に欧米との対決姿勢を強めている。
外交面での大きな変化であり、追い詰められたプーチンは、更なる対抗措置を検討している。


筆者は、この世界的パワー・バランスの大きな変動は、新たな「有事に備える金」への動きを促進させると見て重要視している。
ウクライナ戦況だけでは、相場の材料としては、陳腐化したが、ここに新たな材料が出来した。
とはいえ、これで直ぐに金買いというような話ではない。
中長期的に、米露冷戦が悪化する要因として見るべきだ。
筆者が、長期的には金価格が3,000ドルに達すると見ていることは変わりはない。
その見解をサポートする材料である。本欄では繰り返し記してきたように、年内の金価格上昇については慎重派だが、長期的には、ブル(強気派)だ。


なお、短期的には、株も商品もビットコインも金も売りが目立ち、唯一、買われているのが、米国債だ。
ドル金利は下がり、ドル金利急騰は一服状態である。
円建て金価格の変動は、NY金安とドル安の両面で下げ幅が増幅されている。
これまではNY金高、ドル高のダブルで円建て金価格が史上最高値を更新したが、その反動が生じている。
金とドルの関係も、短期的には、ドル高が金の売り材料にされることもあれば買い材料にされることもある。
結局、トレーダーのポジション次第で、都合の良いように後講釈される。
教科書的発想は、頭の中のハードディスクから消去すべきだ。
ベテランほど、過去の経験則に頼る傾向があるから、ご用心。
「有事の金」も筆者は、これまで軽視してきたが、米露新冷戦エスカレートにいたって、以前より重要視するようになった。
ことに日本人にとっては、有事の備えが必要な時代となった。
但し、「有事の金」をセールストークに使う事例は相変わらず絶えない。
ここは業界のコンプライアンスを強化すべき点がある。


なお、長く、マーケットと接していると、市場環境の変化に対して、柔軟に対応することが重要である。
思考が柔軟なはずの若い世代でも、思い込みが強く、環境の変化に順応できない人たちが多い。
もって銘すべし。