週明けもいきなり金が急騰。2,000ドルに再び接近中だ。


日本時間18日中には米10年債利回りが2.86%にまで急上昇しているが、国際金価格も1,990ドル突破。
当然、円建て金価格は連日、史上最高値更新だ。
国内金価格上昇への寄与度は円安のほうが上回る事態も考えられる。
まさに、金の歴史も常識も塗り替えられる日々。
これまでは、金利が上がれば、金利を生まない金は売りであった。
逆に、マイナス金利になったときは、金利を生まない金=ゼロ金利の金のほうが、マイナス金利よりマシ、とか、究極は、金のほうが相対的にハイイールドとさえ言われて金が買われたものだ。
それが、今回は、ドル金利急騰局面で、金がガンガン買われている。
これまでも本欄で書いてきたように、ドル金利が上がっているが、対して、米国の物価は年率8%以上急上昇中だ。
従って、実質金利は大幅なマイナスという異常事態だ。
国債や預金で保有していても資産の実質価値は目減りするだけだ。
FRBは、この実質金利マイナス幅を縮小すべく動いているが、それとて、政策金利(フェデラルファンド)を年末までに2%ないし3%程度に引き上げる程度。
焼石に水である。
それゆえ、民間のアカデミックな議論として、FRBの現時点での利上げ計画は、まだ、不十分との意見も根強い。
サマーズ元財務長官などは、FRBはなにを、生ぬるい事をやっているのだ、と強烈にFRBを批判している。
インフレ率が8%なら、5%くらい利上げしろ、との強硬論だ。


とはいえ、ゼロ金利に慣れ切った市場の視点では、ゼロからいきなり5%では、あまりに強烈な利上げで、景気が急速に悪化(オーバーキル)してしまう。株価も暴落は必至だ。
それならば、財政政策で、更なる財政支出を増やして、景気を支えよ、との議論もある。
しかし、米国は今、法律的に許される限界まで財政赤字を膨張させてきた。
これ以上、国債を発行して、財政をふかせば、米ドルの信認低下に拍車がかかる。
そもそも共和党が財政均衡を重視して、財政赤字には大反対ゆえ、民主・共和、50対50と真っ二つに議員数が割れる米上院で成立するはずもない。
事実、バイデン看板政策を盛り込んだ200兆円相当の大型財政支出案は、一人の民主党員(マンチン上院議員)の造反で、宙に浮いたままだ。


このように考えてくれば、ドル実質金利がマイナスの状態は当分続くであろう。
量的緩和でばら撒かれた9兆ドルものマネーを回収するとの計画もあるが、まずはせいぜい1兆ドル程度の回収で、過剰流動性は残る。
カネ余り状況は容易に改善されない。


筆者が金は下がっても、歴史的金高圏内に留まり、底割れはないと見る所以である。
下値はドル建てで1,700程度か。
いっぽう、ドルの下値(円高)は115円程度か。
それでも昨年に比し、かなりの円安ではある。
最近は、金最高値だが、下がるとすれば、どこまで下がるか、と聞かれるので、本日は、その答えを記した。


さて、本日の写真は、虎屋生菓子。
ここまでくると芸術品で食べるのが惜しくなる、けど、食べる(笑)

 

虎屋の生菓子1
虎屋の生菓子2